世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

リンドウに潜む禁忌の蛇

2008-06-10 08:37:11 | こものの部屋

蛇が苦手な人には、ごめんなさい。ちょっと気持ち悪いかな。リンドウの花を添えて、抑えてみたつもりなんですが。

蛇が好きな人は、センゴク先生くらいのものですね。わたしも、大好きとまではいきません。山で出会っても、うやうやしく礼儀をして、退散するのが精一杯です。手のひらにのるくらいの子蛇は、それはかわいいですけれど。

蛇は美しすぎるのです。森の、一番痛いところを、守っている。

神様から、もっとも厳しい仕事をせよと、彼らはいいつかっているのです。

リンドウの花は美しい。そして、だれかをいじめたり苦しめたりすることなど、決してしない。ただそこにいて、微笑んで、澄んだ気持でやさしく、見る者を愛してくれる。その花を手折り、踏みにじることは、簡単にできる。実際にそれをやる人はいる。けれどもリンドウは何も言わない。ただだまって消えていく。そしてまた、だれかを愛するために芽生えてくる。

愛はいつもそれを、ずっと繰り返している。殺しても殺しても、また生まれてくる。愛したいから。すべてにやさしくしたいから。どんなに苦しくても、つらくても、また咲く。それを、あまりに馬鹿だといって、いじめ続けていると、やがて、蛇が出てくるのです。

愛の、もっとも痛いところを侮辱すると、とうとう、人は、神様の裏側を見ることになる。

愛は、すべてをいやし、許してくれるものですが、それだからこそ、決してやってはならぬことがあるのです。

それは、真実の愛をまったくの嘘だといって、恥知らずの嘘でそれになりかわることです。

それはすなわち、愛でできたこの世界そのものを、嘘だということだからです。

その禁忌のツボにふれたとき、神の蛇が、リンドウの蔭から出てくる。そのおそろしさを、人は知らない。

リンドウがやさしいからといって、ずっといじめつづけていると、恐ろしい神様の裏側に、落ちてしまうのです。それがどんなことなのかは、見た人でないとわからない。

蛇は、気をつけろといっています。これ以上、行くな。すべて、だめになる。なぜなら、すべては、神がおやりになっているから。すべては、愛だから。それをすべて、だめなものだと言ってしまうと、なにもかもが、消えてしまうのです。

すべて失うのではない。すべて、消えてしまうのです。

そこに落ちる前に、蛇は一撃の牙をちらつかせ、人間を退散させるのです。

このカードの意味は、「それ以上行くな」ということです。






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