世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

許したまへ

2008-06-14 07:41:29 | 詩集・貝の琴

玉の緒の苦き塩に傷めるを
甘き怠惰に預け
花のしとねに憩はんとせり

やましきことの満てるこの身を
厭はしく草むらに捨て
風に己を溶かし
酢のごとき痛みの涙を
ほほに流しき

願はくは 許したまへ
許したまへ
愛の砌の一切を
古井戸に投げ
からからと笑ひ去りし
若き日の驕りを

古傷に病む背骨の
錆び釘のごとく歪めるを
何処に捨て去らんと
思ふものはたれぞと
わが身に問ふ
そもたれならんと
厭はしきものの問ふ

ありし身の美しき日々の
いにしへに去りしことを
悼むものさへ
こより去りゆく

許したまへ この
わが身をわが身より
去らせたまへと
日々願ふ者を

玉の緒を
いつはりに結び
狂ひゆくその明日を
塩のごとき白き山に
焼き殺さんとせしものはたれぞと
われは問ひぬ


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