パソコン君が壊れて、一番残念なことは、たくさん撮った写真がみんなだめになったことです。いずれ、シロツメクサについて書くときに使おうと思っていた、とてもきれいな写真があったのですけど。ほんとに残念なことでした。でもまた、いい写真は撮れるでしょう。これもまた、なかなかです。
ムラサキカタバミやタンポポ、ツキミソウなどは、人間にとって、まるで幼なじみのような花ですね。子供のころ、無邪気に遊んだ思い出のある人は、たくさんいることでしょう。
野原を駆け巡って遊んだ思い出の中に、必ず登場する花。このシロツメクサもその一つだと思います。
でも、人間が、大人になって、悪いことやずるいことも覚えるようになって、子供のころに遊んだ花には目もくれぬようになると、花はそれぞれの形で、人間にメッセージを送るようになります。
「そんなバカなことはしないで」と、苦いことばを言い続けて叱ってくれるムラサキカタバミ。心を閉じて、ただ遠くから悲しげに見つめているツキミソウ。信じているからね、と、常に暖かく励ますタンポポ。では、シロツメクサは? 彼女たちは何をしているでしょう?
この花を見ると、人間は、不思議な安心感を感じます。彼女たちは、人間に、積極的にメッセージを投げません。ただ黙っている。黙って、何かをしている。
そう、シロツメクサは、人間の心を正しいところに連れ戻すために、わたしたちにはわからないところで、行動し続けているのです。彼女たちは、黙って、それをやり続けるということを、選んだのです。
それが何なのか、彼女たちが人間のために何をやっているのかを、尋ねても、彼女たちは答えてはくれません。なんとなくわかるような気がするのですけれど、はっきりとはわかりません。ただ、深い愛が伝わってくるだけです。
彼女たちが黙っているのは、自分たちが人間のために何をしているかを、人間が知ったら、人間がとても苦しむと思っているからです。愛だけで、彼女たちはやっているからです。一生懸命に、やってくれているからです。
わたしたちが、シロツメクサをみて、不思議な安堵感を感じるのは、彼女たちがいつも、その大切なことをやってくれているからです。そのことで、わたしたちの魂が、とても助かっているからなのです。
人間の魂を、正しいところに連れ戻すために、彼女たちがやってくれていることを、いつか人間がわかる日がくることでしょう。そのときまでに、それを黙っていてくれと、彼女たちは言います。
シロツメクサは、そういう花です。