暑くなってきたので、冷房をかけはじめたら、ふた晩目でさっそく風邪をひきました。こんなことで、自分の体のことがわかりますね。昨夜は氷枕で眠りました。
今日はカードです。蛇の次はトカゲと、爬虫類が苦手な人には、大変苦しいかもしれませんが、おつきあいください。それにしても、蛇やトカゲは、難しいです。切り絵は、絵に描く対象をいかに単純化するかが問題なのですけど、もともと形が単純なものは、そこが難しい。この絵も、モデルはニホンカナヘビなんですが、頭のところや手のところなどの微妙な感じが出せなくて、ちょっと苦しいです。次は、もっと上手に描きたい。
ところで、このトカゲは、長くてきれいなしっぽを持っていますが、実はこれは、一度ちぎれたものが、再生したものです。このトカゲは、一度、自らの未熟で恥ずかしい過ちが原因で、根元から自分のしっぽを失ったことがあるのです。
それはトカゲにとって、とても恥ずかしく、苦しいことだったのです。仲間たちの揶揄や嘲笑が苦しく、誰にも自分の姿を見られたくなくて、彼はたまたま近くにあった、すみれの茂みに隠れたのでした。
すみれは、そんなトカゲを、黙って受け入れたのでした。なぜなら、すみれは知っていたのです。生けるものにとって、最も苦しいことは、自分が、恥ずべきことをしてしまったという、苦しみだと。
悪いことしたことよりも、恥ずかしいことをしたことのほうが、ずっと苦しいのだということを。
すみれは、とかげが草むらで自らの問題に苦しんでいる間、ずっと彼の話を聞き続け、彼を隠してやったのです。そしてトカゲは、初めて知ったのです。すみれが、どんなにやさしいかを。どんなに助けてくれようとしているかを。
世界のすみっこに咲いている、小さな花が、どんなに大切な仕事をしているかを。
馬鹿なことは、二度とやるまいと、トカゲが誓ったとき、再び、しっぽが自分から生えてきたのでした。それは前よりも一層長く、美しかったのです。
このカードの意味は、「愛が助ける」です。