◇黒猫のいる裸婦(弦田英太郎画伯)
今回の水彩画教室では、来週の裸婦描画に備えて、巨匠の裸婦を
臨画しました。
弦田英太郎画伯の「黒猫のいる裸婦」は昨年も描いています。
この裸婦には不思議な魅力があります。原画には顔全体に猫科動物
に見られる、相手を試すような、挑むような表情がよく表現されていま
す。こうした表情をうまく描くことは、われら凡人にはなかなか出来ませ
ん。(ご本人は「純粋で哀しく、孤独な影がにじむポエジーが・・・。」と
おっしゃっていますが。)
そもそも原画が油なので水彩で同じような調子を求めても無理があり
ます。特に背景の微妙な色合いはそのまま出ないので自分なりに変え
ました。
人体の色は肌色だけではなく、血管の静脈の青、毛細血管の赤などを
入れないとほんとの肌色になりません。脚・足のように重力の法則で血
液がたまり易い部分は赤を濃くしました。
今回は顔の傾き加減を先生に指摘され修正しました。昨年の絵と比較
すると少し原画に近づいた感じがします。
*弦田英太郎 1920年東京生まれ 東京美術学校卒 コンラッド・メイリに
師事 日展特選 一水会会友
「裸婦はあらゆる芸術で、最も困難な題材のひとつである。永遠の象
徴として、裸婦の美しさを生涯掛けて追求していきたいと思っていま
す。
デリケートな肌のにおいや、ふくよかな女体のエロチズムの中に、
純粋で哀しく、孤独な影がにじむポエジーが欲しい・・・。
願いつつ黒猫のいる裸婦を描きました。」
【黒猫のいる裸婦】 原画(8号)
2008年7月臨画
2007年1月臨画