◇『最重要容疑者(上・下)』 (原題:A WANTED MAN)
著者:リー・チャイルド(Lee Child)
訳者:小林 宏明 2014.9 講談社 刊 (講談社文庫)
作者はリー・チャイルド。
1997年『キリング・フロアー』がアンソニー賞最優秀処女長編賞を受賞し作家デビュー。
ジャック・リーチャーを主人公とするシリーズ作品が19作に及び、本作は17作目。
リーチャ―は身長195センチ体重110キロの巨漢。シリーズの映画化が何度か検討され
たがリーチャー役が決まらなくてようやく9作目の『アウトロー(One Shot)』だけがトム・
クルーズ主演で2012年に映画化された。
リーチャ―は元アメリカ陸軍警察少佐。除隊してから格別の仕事はしていないが事件に巻
き込まれると冷徹な推理力、決断力で抜群の行動力を発揮する。
ヒッチハイクでヴァージニアへ行こうとしていたリーチャ―を、ネブラスカの田舎道で93分
待ってようやく拾ってくれたのは、指名手配逃亡犯と人質になった女性の乗った車だった。
郡保安官、ハイウェイ・パトロール、CIA、FBI、国土安全保障省、テロリスト集団が入り乱
れて攻防が続く。北米のど真ん中、ネブラスカ州とカンザス州、ミズーリー州、アイオワ州とい
う農業が主体の田舎町の碁盤の目のような退屈な道路の、うんざりするような描写が続く。
何しろ何百キロという直線道路が農地の中を走る。GSとGSの間が30キロという地なのだ。
結局リーチャ―はFBIの女性特別捜査官2人と、テロ集団に加わった潜入捜査官救出の
ために敢然と敵地に挑む。そしてほとんど一人で15人ほど殺し、無事に潜入捜査官の救出
に成功する。しかし一人の優秀な女性特別捜査官を失ってしまう。
元MPという異色のハードボイルド。20人ほど死者が出るが楽しめる。
(以上この項終わり)