読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

石原慎太郎の『「私」と言う男の生涯』

2024年12月08日 | 読書

 これは石原慎太郎という海洋スポーツマンであり、物書きであり、政治家であった一人
の男の自叙伝(または 回想録)である。

 多才にして毀誉褒貶定まらない稀代の道楽者。そんな男石原慎太郎は自分という男の生
涯がどんなものであったか、どんなことがあってその時何を思ったか思ったか。どんな人
たちと巡り合ってどんな影響を受けたか。時代の出来事で自分がどんな役割を果たしたか。
また自ら吐露しているように女癖が悪く、妻に支えながらも繰り返した女たちと不倫の一
部始終についても赤裸々に語っている。
 弟の裕次郎とのあれこれ、文筆家としての活動、ヨットレース、クルージング、スキュ
ーバダイビングなど海への傾倒、国会議員や都知事としての政治活動など多岐にわたる
人生の諸活動を将来の自伝執筆のために早くから書き溜めていという。

 彼の人生は、大胆に括れば海と女と政治そして文筆世界であろう。

 彼が度々述懐しように いかに数多くの僥倖に恵まれていたか、そしていかに数多くの出
会いに恵まれていたかを知ると稀有の人生と言ってよいのではなかろうか。いずれにして
もその彼が、徐々に老いていく身と彼岸の世界へのそこはかとない不安の心境を赤裸々に
語っているのが痛々しい。
                                                                                                          (以上この項終わり)

 

 

 


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