読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

日経小説大賞受賞作『女たちの審判』

2015年04月24日 | 読書

◇『女たちの審判』 著者:紺野仲右ヱ門 2015.2日本経済新聞出版社 刊

  

  第6回日本経済新聞小説大賞受賞作である。
  著者紺野仲右ヱ門は紺野信吾・真美子の共著筆名。

  登場人物の多くが拘置所で働く人たち・刑務官である点で異色の小説である。
  拘置所とか刑務所というところは我々一般人にはその実情がなかなかうかがい知れない
  世界である。その点刑務官経験者が描く生々しい日常や処刑の実態には興味津々とい
  う面がある。

   ストーリーはといえば、梶山智樹という一人の死刑囚と土橋という同い年の刑務官との
  間に交流が生まれる。土橋刑務官は所内派閥の陰湿ないじめに遭っていて、一目娘に
  会いたいという梶山死刑囚脱獄の手助けをする。しかし実行段階途中で企みは発覚し
  土橋は罪を負って拘置所を去る。
  死刑囚はやがて処刑される。、名乗ることもなかった産みの母親百合原蛍子は極刑判決
  を下した裁判官羽田とその家族に報復の想いを固める。
  それから十数年の時が経つ。やや唐突で違和感が残るが、山形の地で関係者が顔を合
  わせる講演会が開かれる。その場には、梶山の子を産みながら従姉の刑務官に子を
  委ねたまま行方をくらませた母里由紀子、今は某刑務所長となっている従姉の刑務官母
  里直、すでに退官した元裁判官羽田とその妻、今はその裁判官の養子となっている死刑
  囚の子帆乃香とその娘などが集まる。
  百合原は講演会の場で元裁判官の偽善と二面性を糾弾するのだが、この講演会の設定
  がやご都合主義というか造りすぎという感がしないでもない。
  
  大団円ともいうべき場面はやや出来過ぎではあるがほっとさせるものがある。

  (以上この項終わり)

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