読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

メジロの水飲み場ができて

2019年02月12日 | ものづくり

砂糖水の水飲み場が完成
 かねて念願のメジロの水飲み場ができた。
 500mlのペットボトルの底を使う。脇を10か所くらい切って鳥の足場にする。ワイヤー
 を結んで吊り下げる。
 足場を使って飲むメジロもいるが、ワイヤーにすがって飲む鳥もいる。自分なりのスタ
 イルがあるのだろうか。
 ネットで調べたら砂糖水は砂糖が15~20%を好むとのことで100㏄の水に20gの砂糖
 を入れたが、結構甘いと思う。体長が10㎝程度の小柄なので糖尿病の心配までしてしま
 う。

 毎日2羽のメジロが何度も来る。1羽が少し小さいので親子かもしれない。

 メジロはとても神経質で、しょっちゅう周囲にきょろきょろ気を配り、ちょっとでも
 人の気配がしたりすると飛んで逃げる。
 ヒヨドリだかムクドリだか大型の鳥も来るが足場がないので見ているだけ。邪魔はしな
 い。
 小さい鳥なのでとてもかわいくて、だんだん自分が飼っている鳥のような気がしてくる。

  
 
  

  

  

  

  

                                     の(以上この項終わり)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミゲル・デリーベスの『赤い紙』

2019年02月10日 | 読書

◇『赤い紙』(原題:La hoja roja)
         著者:ミゲル・デリーベス(Miguel Delibes)
         訳者:磐根圀和 1994.1 彩流社 刊

  

   この本は作者が25歳の1959年に発表され、25年後の1986年作者自身が演劇用に翻案し
上演され大当たりをとったという。
 作者のミゲルは「1959年のスペインは1986年では確かに木炭ストーブがガスストーブ
にとって代わったが、エロイ老人の苦渋に満ちた状況はあの時代と少しも変わっていない」
語ったという。

 ミゲル・デリーベスにはスペインのカスティーリャ地方の小都市や田舎を舞台にした作品
が多い。この作品もカスティーリャの小都市の市役所勤めで定年を迎えたエロイという一人
の老人の退職記念パーティから始まる。
   特にドラマチックな展開があるわけでもなく、歳老いた老人の孤独な日常が淡々と流れて
いくにもかかわらず、なぜか人生の在り方について考えさせられたり、無常観にはっとさせ
られたりするのである。
 深いペーソスを感じさせる小説である。

 スペインといえば、陽気で楽天的な国民性との印象をもっていたが、時代が違うとはいえ
なかなかしっとりとした感性もあることを知った。作品の会話の端々には洒脱ではないもの
のイギリス人のようなエスプリが効いた語り口が楽しい

 200ページ余りの短い小説であるが、主人公の老人エロイを取り巻く家族・知人・友人、
女中のデシーの家族・知人・友人その他大勢の人物が登場する。数えてみたら登場人物は
61人もいた。

 エロイ老人は市役所のごみ収集業務を53年も勤め上げ、このほど定年退職したわけだが、
妻には先立たれ、マドリッドで所帯を持っている長男も手紙一本よこさない、孤独な生活を
送っている。今は新しく雇ったデビ―の台所仕事の邪魔をしながら駄弁るのが唯一の楽しみ
になっている。
 
  身の回りの世話をする女中デシーはまだ19歳で、読み書きもできない山出しの娘である
が、毎日2時間老人に字を教わって新聞の見出しを読めるようになった。エロイは今では彼
女に対し漠然とした保護者のような気持ちを持っている。
 
字が読めるようになったデシーは女中仲間のマルセや恋人のマヌエル(あだ名はカササ
ギ)にどのタイミングでその快挙を伝えようかうずうずするところがほほえましい。

 毎日のように一緒に散歩していた幼馴染のイサイアスが死んだ。エロイはイサイアスの
妻と娘を慰め葬儀一切を仕切った。墓場で司祭はエロイに「人生は一陣の風に過ぎないが、
人間はそれを永遠ででもあるかのように心得て欲心のままに振舞っているのだ」と言った。
エロイはこの禅的な言葉をずっと覚えていた。

 イサイアスの死で2週間も落ち込んでいたエロイはマドリッドの息子のところに行こう
と決心する。ところが息子は身体の不調をぼやくばかりで会話はしっくりいかない。嫁に
「お父さん」と呼んでほしいと思っているのに他人行儀、一時同居もあるかと思ったものの、
なんとなく居心地が悪く結局10日ほどで田舎に帰ることにする。

 一方、
留守を任されデシーは、恋人カササギが刃傷沙汰を起こし獄につながれることに
なってしまった。除隊後に結婚しようという約束が雲散霧消してしまったデシーは、悲嘆
と絶望のあまりに、帰ってきたエロイの胸に身を投げる。

 落ち込んで涙に明け暮れるデシ―は、映画に誘ったりするエロイの優しい心遣いで次第に立
ち直っていく。

 この小説ではエロイ老人の周辺些事が繰り返し語られるが、底辺にあるのはエロイ老人の
孤独感だ。寂しい結婚、末の息子を亡くし、妻や友人にも先立たれた。息子夫婦は心をかけ
てくれない。
老人の孤独感がひしひしと伝わってくる。

 エロイはデシーを元気づけるためにクリスマスの時のように二人だけのパーティーをしよ
うと酒を買ってこさせる。人生に大切なのは温もりを持つことである。ということをデシー
に説明しようとするが酒が回ったエロイは言葉がもつれ、感極まりいきなりデシーの二の腕
をつかむ。
「見捨てないでくれ」とデシ―に取りすがったエロイの叫びは悲痛であるが、「おっしゃる
とおりにしますだ、だんな様」
 デシ―の答えは互いが支え合うことを認めたことであり、温もりを求めてやまなかったエ
ロイの人生の終幕を落ち着かせてくれる言葉だった
 

ちなみに「La hija roja」=赤い紙とは、たばこの巻紙を指す。残り少なくなると赤い紙が
出る。作中「あと5枚だよ」というエロイ老人の繰り返しが彼の人生の終わりを象徴し哀れ
である。

                             (以上この項終わり)

 


  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

めじろ君来訪

2019年02月08日 | その他

◇ みかんに誘われてメジロ君来訪

 庭にメジロが来ていることは知っていたが、いつかもてなしをしたいと思っていた
のだが、食べ忘れた庭のミカンがあったので、半分に割って針金に通して昨日柿の木
の枝につるしたところ、早速2羽のメジロ君が来訪、上段のミカンをつついていた。

 今日は食べ終えた上段のミカンを取って下段のミカンで毛にしたところ再びご来訪。
メジロは小さくてムクドリなどの大型の鳥に排除されてなかなか餌にありつけないこ
とが多い。今度のミカンは大型の鳥には足場がないのでメジロしか食べることができ
ない。
 大型の鳥君らは柿の木の上の枝で恨めしそうに見つめていた。

 今度はメジロの好きな砂糖水飲み場を作ってやろう。

  

  

  

  

  

  

  

                                      (以上この項終わり)
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

井本邦昭の『弱った体がよみがえる・腰の人体力学』

2019年02月06日 | 読書

◇『弱った体がよみがえる腰の人体力学

      著者:井本邦昭 2013.11 高橋書店 刊 
 

 

   まずページを開くと、著者の先生の警鐘が耳を打ちます。現代人は人間に備わっている
生命力を養うサイクルが断ち切られているというのです。
 そこで腰の場合、上半身の動きや重みを受け止め様々な臓器を支えているので、腰の一
部に不具合が生じただけで病気や不調の火種になるというのです。
 身体の各部位がしっかりと役割を果たし合う本来の姿が失われているために「使い勝手
の悪い体」になっている。「使い勝手の悪い体」とは身体の各部位が「動きにくくなって
いる」状態で、それをそのままにしておくと体は慣れてしまい、脳はそれが正常と判断し
動かない
部位が増えて体のバランスが崩れやすくなるというのです。

そのため第2部で「動かなくなっている部位」がなぜできるのか、人体力学的に説明します。
特に背骨と腰の果たす役割とその重要性に重点が置かれています。

さていよいよ第3部。腰の痛みから体の状態を読み解きます。
①歩き初めに痛む②腰かけると痛む③
長時間座っていると痛む④時折しびれる⑤ぎっくり
腰になりそう⑥体の左右どちらかが痛む⑦夜中や明け方に痛む⑧天候次第で痛む⑨腰全体
が重だるいなど症状ごとに痛みの発生メカニズムを説くと同時に、動かなくなった部位の解
消体操(エクササイズ)が説明されます。
<体操の種類>
1.腰椎捻転体操 2.内転筋がに股体操 3.中殿筋逆転体操 4.腰椎捻転体操 5.肋間・リン
パ節ねじれ体操 6.ひざ抱え体操

 このスキームのすばらしさは、朝と夜の2回、各10秒程度でよいことです。エクササイズ
を見ると正しい腰のアーチをしっかりと作ることがポイントのようです。そして腰の仙骨と
第五腰椎の間にある三角形(発見がむつかしい)の柔軟性を維持することが腰のアーチ復活
の要のようです。

第4部 なぜ、人体力学体操は体を変えるのか 第5部 腰の構造に隠されたすごい秘密とは
第6部 弱った体を蘇ら
せる腰の人体力学


 私はまだ若い頃に(といっても60歳)ぎっくり腰になって、椎間板ヘルニアと診断されま
した。ところがいったんなくなった痛みが半年前に再発し、座骨神経痛症状で薬を飲む羽目
になりました。最近この薬の効き目も不安定になってきた感じなので、この本で人体力学と
いう科学的な解説を理解し、このエクササイズでつらい座骨神経痛を克服しようと思って、
只今真剣に取り組んでいます。
なんといっても体操の手順が視覚で確認できるDVDが付いているのが魅力です。
                              (以上この項終わり)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マーク・ハッドンの『夜中に犬に起こった奇妙な事件』

2019年02月03日 | 読書

夜中に犬に起こった奇妙な事件
       
(原題:The Curious Incidennt of the Dog in the Night-Time)

          著者:マーク・ハッドン(Mark Haddon)
          訳者:小尾 芙佐     2016.4 早川書房 刊 (ハヤカワepi文庫)

   
  この本は世界42か国で翻訳出版されて、1000万部の爆発的売れ行きだそうです。
 この本の主人公は「これは殺人ミステリー小説である」といっていますが、なかなか殺人も
ミステリーらしいところが出てきません。
 むしろこの本の最大の魅力は、障害を持った、これまで家の通りのはずれの店までしか一
人で外出できなかった15歳の少年が、電車で150キロも離れたロンドンに住む母親を訪ねる
旅の苦心惨憺の一部始終がもたらす感動でしょう。

  ある日主人公クリストファーにとって衝撃的な出来事、つまり”夜中に隣のミセス・シアー
ズの家のウェリントンという犬が、庭のフォークで刺し殺された”という奇妙な出来事が起き
ます。この犯人を探し出そう、そしてそれを小説に書こうと決心したものの、父親に差し止
められる。実は後に父が犯人だったことが明らかになるのですが、その間ランダムにクリス
トファーが、身の回りで起こる日常の出来事を自分がどう受け止めているか、縷々述べられ、
かつまた得意な物理や数学の面白さを自作の図やイラストを使いながら紹介したりする独特
な手法が奇妙な魅力です。

  実は物語の中でクリス自身が”僕のように問題行動をする人間の世話をするストレスのために
”父と母が離婚するのではとよく考えたと述懐している箇所があります。クリスは発達障害(多
分アスペルガー)であり特別支援学校に通っています。人とうまく付き合えない障害を持って
いるため様々な苦労をし、これを何とか克服しながらこれまで経験しなかった出来事に対処し
ていく姿が物語に投影されています。著者がかつて発達障害を持つ人たちと働いたことがある
だけに、我々には彼らがどんな苦労をしているのかなかなか知ることがないので、彼らがどん
な場面でどのような受け止め方をしているのか、どんな痛みを味わっているのかがよくわかる
ように物語に取り込んであります。

 クリスは自分の問題行動の一部を説明しています。
A.長い間人と話さない。B.長い間何も飲んだり食べたりしない。C.さわられるのを嫌がる。
D.怒ったり、頭が混乱すると悲鳴を上げる。
E.とても狭い場所に一緒にいるのを嫌がる。
F.怒ったり、頭が混乱したりすると物を壊す。G.うなり声をあげる。H.黄色とか茶色とかがき
らいで黄色のものや茶色のものに絶対触らない。I.人が触った歯ブラシは絶対使わない。
J.種類の違う食べ物がくっついたりするとそれは食べない。K.人が僕に腹を立てても気が付か
ない。L.笑わない。M.ほかの人が無作法だと思うようなことを言う。

 クリスは父親から、母親ジュディは病気で入院したまま亡くなったと聞かされて育ってきま
した。
 ところがある日父親の書斎で母から送られてきたクリストファー宛の手紙の束を発見します。
そこでは母がクリスの育児に辛抱できずロジャーという男性と駆け落ちした経緯が縷々綴られ、
クリスに心から謝って許しを求めていました。そこには今住んでいるロンドンの住所も書いて
あります。
 思わぬ事態にクリスは茫然としているところを父親に見つかります。ここで父親から隣家の
犬ウェリントンを殺したのは自分であること、それはほんの弾みであったし、母親を死んだと
言ったのも、そう言うしかなかったと告げられます。そしてクリスに嘘をついたことを涙なが
らに
謝ります。

 クリスはこれ以上嘘をついた父親と暮らすわけにはいかない、ロンドンの母親のもとに行こ
うと決心します。トビーというかわいがっているネズミとスイスアーミーナイフをポケットに
持って(体に触ってきた人を刺そうと思って)。
 人混みや他人に触られることが我慢できないクリスは、幾多の困難に出会いながらやっと母
親のもとにたどり着きます。父親は警官を帯同しクリスを取り戻そうとしますが、母親のは頑
としてクリスを放しません。
 母親はロジャーという男性と暮らしていますが、狭い家にやってきたクリスを邪魔者扱いを
しはじめたのでクリスを父親の家に連れ戻します。
 クリスは一時嘘
をついた父親が嫌いになったものの、父が死んだトビーの代わりにゴールデ
ンレトリバーの仔犬を買ってきてくれたり、一緒に畑を耕してニンジンやホウレンソウを作る
ことになったりして二人の関係は修復されました。

 クリスは先生に勧められた数学の上級試験も最高の成績でAを取り、今度は特別上級試験を
受けることにしたし、物理学の上級試験も受けたい。そして大学に行って科学者になるのだ

クリスの夢は膨らみます。

 育児のストレスで家を出てしまった母親も、息子を守り育ててきた父親も、心からクリスを
を理解し、愛しています。クリスはきっと優れた科学者になれるでしょう。 
 実に心和む本でした。 

                               (以上この項終わり)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする