リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バッハのシャコンヌ(1)

2008年07月07日 11時48分27秒 | 音楽系
シャコンヌといえばバッハの作品が有名です。ヴァイオリン販売店の名前にもなっているくらいです。もちろん、バッハ以外にもシャコンヌという舞曲を作曲している人は沢山いますが、バッハ作品があまりにも有名かつ作品として優れているので、他の作品はちょっと割を食っているかも。

リュート作品だと、ピチニーニ、ゴーティエ、ガロ、ムートン、ドュビュ、リシェー、ヴァイスなどがシャコンヌを書いていますが、バッハの作品の前にはどうも見劣りしてしまいます。といってもリュート奏者たちの作品は決して二級の作品ではなく、バッハのシャコンヌが飛び抜けてすばらしい作品だと言うことです。

バッハの自筆譜を見てみますと、タイトルにはCiaccona(チャコーナ)とイタリア語で書かれています。チャコーナは結構速いテンポの舞曲ですが、バッハの作品はゆったりとしたテンポです。でも3拍子の2拍目に付点がある特徴的なリズムはこの舞曲の特徴で、演奏するときには、この舞曲感といったものを忘れないでおきたいものです。

チャコーナにはあと特徴的なこととして、繰り返される低音主題があります。例えば4小節に渡る低音の動きを何度も繰り返しつつ、その上の声部にいろいろ変奏を加えていく、という曲の作りが特徴です。こういう形式は、当時の楽曲では、グラウンド、パサカリアも同じ構造です。現代のジャズも基本的にはよく似た構造ですね。