残念に思うのは、鍵盤楽器で演奏する人の何人かは、新バッハ全集版をそのまま使っていることです。鍵盤楽器なら音域の制約がないので、原典を弾いてみるべきだと思うのですが、いくつかの録音はプレリュードからジグまではメロディ(右手)が1オクターブ下げ、ジグのドゥブルだけ右手が1オクターブ上がるという新バッハ全集に則したものです。これ、きちんと原典を検討していないという証拠ですね。現在少数ですが、ラウテンヴェルクでの原典を使った演奏も出て来ています。
実は新バッハ全集というのは「原典」ではなく、スラーなども整理し、異稿の問題もそれなりに(場合によっては適当に)結論を出した「実用版」なのです。とりあえずチャチャっと使うには便利な版ですが、プロが演奏や録音に使うには、参考程度に留めるべきです。ギターの編曲なんかはこの新バッハ全集を原典として使ったというのもあり、さらにそれを少し変更して別のギター版を作ったりでもう伝言ゲームみたいになってしまっています。
さてリュートで弾く場合は、音域的にいって原典版の使用は不可能で、新バッハ全集の考え方を取らざるを得ません。ジグのドゥブルは、新バッハ全集とは異なり、オウターブ下げる措置をとります。といったことをしたところで、全てリュートで演奏可能かというとこれがなかなか。(笑)
全く弾けないところ、弾けるけど運指的に相当無理をするところのオンパレードです。もう30年くらい前に、バロック・リュートで1音上げてニ短調でアレンジをしてみましたが、あまり実用的ではありませんでした。
つづく
実は新バッハ全集というのは「原典」ではなく、スラーなども整理し、異稿の問題もそれなりに(場合によっては適当に)結論を出した「実用版」なのです。とりあえずチャチャっと使うには便利な版ですが、プロが演奏や録音に使うには、参考程度に留めるべきです。ギターの編曲なんかはこの新バッハ全集を原典として使ったというのもあり、さらにそれを少し変更して別のギター版を作ったりでもう伝言ゲームみたいになってしまっています。
さてリュートで弾く場合は、音域的にいって原典版の使用は不可能で、新バッハ全集の考え方を取らざるを得ません。ジグのドゥブルは、新バッハ全集とは異なり、オウターブ下げる措置をとります。といったことをしたところで、全てリュートで演奏可能かというとこれがなかなか。(笑)
全く弾けないところ、弾けるけど運指的に相当無理をするところのオンパレードです。もう30年くらい前に、バロック・リュートで1音上げてニ短調でアレンジをしてみましたが、あまり実用的ではありませんでした。
つづく