リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

カラヴァッジョ展(2)

2019年11月06日 11時59分29秒 | ローカルネタ
どっかで楽譜の曲はアルカデルトの作品だと言うことを聞いていたので、IMSLPでマドリガル第1集(以下第1集)をダウンロードして調べて見ました。Sで始まる曲は2曲しかなく、音符の動きからあっさりと特定できました。

でも他の曲を調べるにはやはり高解像度の画が欲しいのでいろいろ検索しましたら、いいのがありました。展覧会のものはなかったのですが、エルミタージュ美術館のものも高解像度のものがありました。Wikimedia commonsというところにあります。

エルミタージュ版とロンドン版(名古屋で現在展示中のもの。以降これらを「エ版」、メトロポリタン版を「メ版」としておきましょう)では3曲ありますが、画の側から見て右、両開きの楽譜から見て左に書かれている曲は、第1集の21ページ、Voi sapete です。歌詞は、Voi sapete ch'io u'amo anzi u'adoro と続きます。1曲目は画では始めの文字が C になっていますので、目次で見てみますとこれも2曲しかありません。描かれていた楽譜から37ページの Chi porta dirだとわかりました。なんかエライ簡単にわかるもんですねぇ。(笑)

問題は2曲目です。タイトルの始めの文字がわかりませんので、楽譜のエンディングで探すしかありません。第1集の冒頭からエンディングを見ていきますと、真ん中より手前に該当する曲が見つかりました。20ページ目の Se la duta durenza です。終わりの方でなくてよかったです。

これでエ版の3曲が特定できました。実は画の中には楽譜は2冊描かれています。両開きになっている楽譜の下に、閉じた楽譜がありその表紙には Bassusと書かれています。これはバスのパート譜です。開いている楽譜ももちろんバスのパート譜です。これはカラヴァッジョが描いた楽譜を見ればわかることです。ですから当然今回曲探しに使ったのも、第1集のバスパートの楽譜です。(4声のマドリガルですので、あとCantus, Altus, Tenorというパート譜があります)