リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

組曲ハ短調BWV997を弾く(4)

2019年11月21日 19時20分15秒 | 音楽系
原調のハ短調によるバロック・リュート編曲では、今村泰典編曲、イ短調編曲ではホプキンソン・スミス編曲が出版されています。いずれもちゃんとした運指がわかりとても実用的なものです。アマチュアの方でネットで探してきた編曲を使う人がいますが、絶対に止めた方がいいです。弾いた形跡がないあるいは全く弾けないタブが大半です。先日もあるリュート講習会でそういった類いの楽譜を使ってらっしゃる方がみえました。弾ける実用性がある今村、ホピー編曲でも超難曲なのに、そもそも弾けないタブを使っていたんでは絶対に弾けるようにはなりません。アマチュアの方はパッ見ただけでそのタブが演奏可能なのかすぐには判断できないでしょうから、ちゃんとした奏者が録音もしている版を使うべきです。

私は今回はアーチ・リュートによる編曲を試みました。なぜバロックにしなかったかというと、この春先までアーチ・リュートを使うコンサートが多いからという単純な理由からです。でももう一つ理由があります。それはアーチ・リュートの方がバロック・リュートよりは高い音を少しだけ取りやすいし、弦長も短いので少し有利かなと考えたからです。

ただアーチリュートの場合はシングル弦で運用しているので(私の場合)、バスのオクターブ弦のみを使うという技が使えないのが少しつらいところです。編曲はプレリュードとフーガはすでに2017年に行っています。そのころプレリュードだけですが、何回かコンサートで演奏しました。今回はもう一度それらを見直して見ることにしました。