リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

深海の街、超一流と伸びしろ

2020年12月08日 15時32分03秒 | 音楽系
ユーミンが39作目となるアルバムを出しました。早速購入して聞いてみました。最近というかここ10年くらい前からキーが随分下がってきて、20代前半のようなトーンでは歌えなくなってきました。ユーミンは今66歳ですが、66歳の歌い方があるとは思います。それに楽曲自体は自分で作るので自分に一番都合のいいように作れるし、アレンジもすぐ近くがするのですから、それらは大いに強みになると思います。

アルバムのタイトルになっている「深海の街」は、TBSのWBSというニュース番組のエンディングテーマ曲として発表されていた曲です。あとCMで流れていた曲も何曲かあります。「知らないどうし」はTBSで放送中の金曜ドラマ『恋する母たち』のテーマ音楽です。ユーミンがテレビドラマの主題歌を書くのは1993年のTBS系ドラマ『誰にも言えない』の主題歌「真夏の夜の夢」以来です。「真夏の・・・」ではドリア調イントロが印象的ですが、新アルバムの「知らないどうし」のイントロもドリアンモードが少し入っていて、サウンドの共通性を持たせています。

発売前に行われたインタビューでとても印象に残ったことばが2つありました。ひとつは、「今まで一流の人から沢山のことを吸収してきて、自分は超一流を保ってきた」です。自分のことを超一流とシャーシャーと(今風だとシラっと)言ってのけるなんてさすがですねぇ。(笑)でもユーミン作品の音楽性(アレンジも含めて)、文学性を本当にわかるって評価できる人は実はほとんどいないでしょうから、自分で言ってみたんでしょう。人のことを評価、理解できるのはその人と同じくらいのレベルかそれ以上の人でないてできないものです。

もうひとつは、「まだ伸びしろがある」です。あの高さのレベルまで行っている人が「まだ伸びしろがある」なんて言っているのですから、凡人の理解できる領域の人ではありません。天才的な人というのはそういうものです。でもじっとしていると天才でもそのうち干からびて凡才になってしままうかも知れません。一般庶民が待望していて当然のように出てきた最新アルバムの陰にはものすごい努力と苦闘があったに違いありません。