リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

リュート・ソング

2008年06月30日 10時44分41秒 | 音楽系
8月、10月のコンサートでダウランドのリュートソングを演奏するので、久しぶりにさらってみました。私のルネサンスリュートは弦長57センチでボディもことさら小振りなので、超小型リュートを演奏ているるみたいです。(笑)最近はバロックリュートやテオルボなど大型の楽器を演奏する機会の方が多いので、これらのコンサートは貴重です。



ルネサンスリュートのレパートリーは基本的には小曲単位で、現代におけるコンサートのプログラムがちょっと組みにくいのでは、という感じがします。聴いている人になんか途中で飽きられてしまうのでは、という心配があるんですね。ですから、ルネサンス・リュートだけのコンサートだと、よく自作のかなりポップな感じの曲もいっしょに弾くことが多いです。

でもリュートソングを中心にリサイタルを開いてみたいという気持ちはありますね。ただ世間一般には、半分以上「伴奏」ではリサイタルじゃないじゃん、と言われそうですけど、リュート・ソングのリュートパートは決していわゆる伴奏じゃないですよ。

イギリスのリュートソングの場合、曲全体が4声とか5声で、リュートはそれらのうち、一番音の高いパート以外を全て演奏します。リュートが演奏するパートはいわば独立したメロディで、ブンチャッ、ブンチャッ式の伴奏とは全く異なります。ソプラノ(場合によってはテナー、バリトン)のメロディとは異なるメロディを3つとか4つ一台の楽器で演奏するわけですから、そういう意味では、歌の人よりエラいんです。(と取る人は世間では希ですが(笑))ま、リュートは言葉をしゃべることはできませんが。でもまるで言葉をしゃべるように、歌詞が変わったらそのことばのニュアンスが出るように演奏するんですよ。

スイスにいた頃は、日本人のIさん、スコットランド人のマークを始め、数人の歌手の「専属リュート奏者」をつとめてまして、特にマークとはスコットランドでのコンサートをはじめ、いろいろなところ一緒に活動しました。彼は顎関節を痛めてしばらく歌ってないと聞いていますが、今はどうなんでしょうねぇ。彼はものすごい有能な歌手で、小さいとき古楽に触れて育った根っからの「古楽人」です。バロック・リュートの曲なんかこっちがびっくりするくらい一杯知っていて、とても好きみたいでした。また連絡を取って、一度日本でも彼とコラボをしてみたいもんですねぇ。

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