リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

プレリュード・フーガ・アレグロのヘ長調編曲(12)

2022年04月20日 08時54分30秒 | 音楽系
現在私はほとんどの人に対してバッハのレッスンをしていません。以前は希望する人には全員していたのですが、ほとんどの方は演奏するために必要なことがあまりにも身についていないのです。技術的にも音楽的にも無理、せめて技術的にある程度行っていればそこそこのレッスンはできますが、そこまでハードルを下げてもなかなかきちんとレッスンができる人は少ないです。ということで今では極少数の人にしかバッハのレッスンはやっていません。

芥川賞作家のギター小説の監修をしている日本を代表する某ギタリスト氏は、もうオレはバッハのレッスンはしない!と仰っているようですが多分私と同じような状況を感じているのでしょう。

とは言うものの前回述べたようにつまみ食いは楽しい、いやつまみ食いこそ楽しい!曲の完成はめざしませんが、つまみ食いのためのレッスンはやります。同じつまみ食いでもレッスンを受けるともっと楽しくなるでしょう。誰にもバッハを弾く権利はあるでしょうし、私がそれを禁止する権限もありません。私の編曲譜でよければ大いに活用してください。前回公開した楽譜はその後いろいろ変更されています。そのうち確定版を公開します。

でもそのつまみ食いレベルの演奏を人前でしたりネットに上げるのは慎みたいものです。人前やネットは公共です。そういう演奏に対して私が直接止めにかかる権限はありませんが、公共の場でそういうはしたないバッハを演奏するのはバッハに対して失礼だと考えています。

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3 コメント

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Unknown (老弾)
2022-04-20 13:17:59
こんにちは、山は今が桜の時期です。

「技術的にも音楽的にも無理」なのにレッスンを希望する人は、「身の程知らず」 ということですよね。
でも、何故レッスンを受けたいのですかね。

バッハを「演奏するために必要なこと」を、少し具体的に説明して頂けませんか。
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re (nakagawa)
2022-04-20 14:11:29
今も桜が見られるなんて素晴らしいですね。

さて「身の程知らず」ということばは使わないほうがいいでしょう。バッハの音楽の素晴らしさを感じ、あこがれがあるから弾いてみたい、弾けるようになりたい、レッスンを受けてみたいと思うんですよね。それは大切にしたいと思います。でもものごとには順序があります。

演奏するために必要なことはバッハに限らず他の作曲家の音楽でも同じです。すなわちきちんと押弦できる左指の技術があるか、綺麗でよく通る音が出せる右指の技術があるか、バスとメロディをきちんと聴いてバランスよく弾けるか、旋律がレガートで弾けるか、和音やアルペジオが綺麗に弾けるか、和声の実践的な知識があるか・・・などなど

これらは最初はもちろんできませんので、きちんとしたレッスンを通じて身につけていくことです。

ただバッハの音楽は他の作曲家にくらべると格段に複雑な要素が多くより深い理解、高度な技術が必要です。さらにリュートでバッハを弾くときの特有の事情もあります。

鍵盤楽器だとバッハ自身が初心者のための曲も書いているので、はじめのうちはそれほど技術的な敷居は高くないですが、リュートで弾く曲はいきなりホンチャンの曲ですよね。残念ながらリュートを弾く人のことをよく考えて作られた曲はバッハ作品の中にはありません。

バッハをリュートで弾くのはとてつもなく高度なことなのです。事情はギターでも大体同じでしょう。
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Unknown (老弾)
2022-04-20 17:47:59
返信、ありがとうございます。
順序! 音楽やスポーツ等に限らず、習い事はステップを踏んで学んで行く。当然と言えば当然ですね。
ただ、そのステップの完成度がどの程度かが問題でしょうし、忍耐も必要ですね。
昔、バッハ全集を手にした時、リュートで弾くことを考えていないように読めました。
先生の編曲譜を楽しみにしています。
ありがとうございました。
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