リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ベルリンの壁崩壊から30年

2019年11月11日 18時55分42秒 | 日々のこと
ベルリンの壁が崩壊してから30年が過ぎましたが、旧東ドイツにあった街の現在はどうなっているのでしょうか。15年程前にバッハゆかりのケーテンの町を訪れたことがあります。



駅からバッハが宮廷楽長をしていたケーテンのお城に向かいましたが、途中の町の様子はなんか少し寂れていて、どちらかというと荒れ果てたといういいかたの方がぴったりするところもありました。



昔の地図でみるとケーテンのお城は小さいながらも堀で囲まれた立派なお城だったようですが、その堀も水際がくずれてもはや直線部分がありません。



お城自体はバッハ関連の展示もされていて、整備もされていました。



旧東ドイツの大都市ドレスデンや、ライプツィヒもそのころ訪れたことがありましたが、駅付近はヨーロッパの大都市となんら遜色はありませんでした。ただちょっと離れると、歩道の石畳が古くてわれていたり、倒れ掛けの教会があったりで、大都市でもこんなのだなぁと思いました。

バッハゆかりのオルガンがあるというナウムブルクの教会を訪ねたときは、もちろんオルガンはきれいに修復されていましたし、街の中心部は歴史あるヨーロッパの小都市といった趣でした。


修復なった聖ヴェンツェル教会のオルガン。お披露目演奏会のときのものです。

しかし一歩中心部をはずれると、街は荒れていました。古い建物は修復がままならず、道路を見ればトラムが通っていた線路があるのはわかりますが、線路の隙間は土で埋まり、架線も見当たりません。当然のことですが昔ガタゴトと音を立てて走っていたトラムは幻影のみ。

あれから15年経ちましたがその後どうなっているんでしょうね。また訪れてみたくなりました。

クロネコぐだぐだ

2019年11月09日 14時27分31秒 | 日々のこと
少し前に昔ながらのインターネットをADSLから光回線に替えましたが、ADSLを契約していましたソフトバンクさんからレンタルのモデムを返却してほしい旨のハガキが届きました。ハガキには、11月6日が局内の撤去工事日になっていましたので、すでに完全にADSLとはおさらばしています。

で、モデムを送付しなければならないので、取りあえず梱包致しました。最近「宅急便をスマホで送る」というのをテレビで宣伝していましたので、便利そうなのでこの方法を取ることにしました。

PCのWEBで調べて見ましたら、QRコードが出ていましたので、これをスマホで読み取りスマホでログイン、既に会員登録はしてあります。必要なことを書き入れていくわけですが、なぜか送り先の番地がうまく入力できません。○○町3-1の「3-1」の部分ですね。入力欄には、番地というのがあってここに3-1と半角数字で入れると入力確認ページではエラーとなっています。それと電話番号もエラーになっていました。

クロネコのサービスに電話してお姉さんに尋ねてみましたら、そちらで番地を入れてみたらちゃんとできました、とおっしゃる。こっちでは何回やっても上手くいかないので、今度は3-1の「3」を番地、「1」を号の欄に入れてみましたら、あら不思議確認欄では番地が「3-1」、号は空欄になっているではありませんか。でもエラーにはなっていません。

番地欄にハイフン入りの記号を入れるとエラーになるわけです。ハイフンなしだと当方でもエラーになりませんでした。電話のお姉さんがちゃんとできたとおっしゃるのは、ハイフンなしの番号をいれた結果でしょう。

「3-1」というのは3-1番地ではなくて3番地の1が正式だそうなので、その意味では、入力欄の解釈は正しいでしょう。でも確認ページで、番地が3-1、号が空欄というのはあきらかにおかしいです。それに私みたいに枝番もハイフンつきで入力してしまう人も多いでしょうから、どちらでも受けつけられるようにしておかなくてはなりません。

電話番号は何度やっても入力エラーになりますが、これなしでも届くでしょうから空欄のままで、とりあえず送付用のQRコードをゲットして営業所に持って行くことにしました。

あとサイトをもう少し進むと、受け渡し可能な場所が地図とともに表示されます。私はすぐ近所のクロネコの営業所に持ち込みたいのですが、一覧表で出てくるのはコンビニばかりです。これも変ですけど、地図には営業所の表示もありましたので、こちらにしようと思いましたら、すぐ隣に同じクロネコの表示がありました。タップしてみますと、何と長島町の営業所がでてきました。桑名市の営業所と長島町の営業所が2ついっしょに並んでいるのです。これ、もっと変ですよね。もうぐだぐだです。(笑)

またサービスのお姉さんに電話して、今後の改善のためにどういう問題が起こるのか、ついでにどう回避していくかもを伝えておきましたが、テレビでも大々的に宣伝している大会社のシステムがこんなことで、クロネコさん大丈夫でしょうか。

カラヴァッジョ展(3)

2019年11月07日 12時00分48秒 | ローカルネタ
リュートを弾いている若者は顔立ちからすると、カストラート(去勢男性ソプラノ歌手)だとする説がありますが、私もこの説に賛成です。半開きの口なんかこれから歌うという感じですよね。バスの楽譜を見て、適宜和音をリュートで弾きながら歌う、そういった感じの場面です。一緒に描かれている楽器をそれらの曲を一緒に合わせるための楽器ということでしょう。

さて、メ版の楽譜は先にも書きましたように、曲が異なっています。メ版は2曲描かれていまして、1曲目が L で始まる曲、2曲目が P で始まる曲です。これも第1集から探してみましたら、あっさりと見つかりました。L 始まりの曲は2曲、P 始まりは3曲でした。1曲目は22ページのLascia'il uelo (velo)、2曲目は18ページの Perche non date voi です。

合計5曲全て特定できました。かくなる上はこれらを実際に演奏してみたいですね。4声をきれいに歌える人たちは周りにはいないので、実用的なところでリュートとソプラノまたはリュートソロにしてみようかと考えています。こんなにあっさりとわかるんでしたら、もう少し早く特定してどっかに売り込んでみたらよかったです。(笑)このくらいの労力でできることですから、多分この5曲はもうすでに誰か特定しているんでしょう。ただネットで検索しても上がって来なかったです。秘密にしているのかな?でも、ここで大公開ですよ!

こういったマドリガルをリュートで弾くには、時代的にいって通奏低音ではいけません。全パートまたはCantusを除いたパートをリュートで弾く、あるいは全パートを適宜調整しながら弾くというのが当時のやり方です。またソロにする場合は、適宜ディミニューションを入れた方がいいと思います。

一応まとめておきます。

ページは、IL PRIMO LIBRO DI MADRIGALI D'ARCHADELT A QVATRO CON NVOVA GIONTA IMPRESSI.(1539)のBASSVS分冊におけるページです。

エ版
1曲目は37ページの Chi porta dir
2曲目は20ページの Se la duta durenza
3曲目は21ページのVoi sapete

メ版
1曲目は22ページのLascia'il uelo (velo)
2曲目は18ページの Perche non date voi

カラヴァッジョ展(2)

2019年11月06日 11時59分29秒 | ローカルネタ
どっかで楽譜の曲はアルカデルトの作品だと言うことを聞いていたので、IMSLPでマドリガル第1集(以下第1集)をダウンロードして調べて見ました。Sで始まる曲は2曲しかなく、音符の動きからあっさりと特定できました。

でも他の曲を調べるにはやはり高解像度の画が欲しいのでいろいろ検索しましたら、いいのがありました。展覧会のものはなかったのですが、エルミタージュ美術館のものも高解像度のものがありました。Wikimedia commonsというところにあります。

エルミタージュ版とロンドン版(名古屋で現在展示中のもの。以降これらを「エ版」、メトロポリタン版を「メ版」としておきましょう)では3曲ありますが、画の側から見て右、両開きの楽譜から見て左に書かれている曲は、第1集の21ページ、Voi sapete です。歌詞は、Voi sapete ch'io u'amo anzi u'adoro と続きます。1曲目は画では始めの文字が C になっていますので、目次で見てみますとこれも2曲しかありません。描かれていた楽譜から37ページの Chi porta dirだとわかりました。なんかエライ簡単にわかるもんですねぇ。(笑)

問題は2曲目です。タイトルの始めの文字がわかりませんので、楽譜のエンディングで探すしかありません。第1集の冒頭からエンディングを見ていきますと、真ん中より手前に該当する曲が見つかりました。20ページ目の Se la duta durenza です。終わりの方でなくてよかったです。

これでエ版の3曲が特定できました。実は画の中には楽譜は2冊描かれています。両開きになっている楽譜の下に、閉じた楽譜がありその表紙には Bassusと書かれています。これはバスのパート譜です。開いている楽譜ももちろんバスのパート譜です。これはカラヴァッジョが描いた楽譜を見ればわかることです。ですから当然今回曲探しに使ったのも、第1集のバスパートの楽譜です。(4声のマドリガルですので、あとCantus, Altus, Tenorというパート譜があります)

カラヴァッジョ展(1)

2019年11月05日 10時23分09秒 | 日々のこと
名古屋市美術館で開催中のカラヴァッジョ展に行ってきました。お目当ては、なんといっても「リュートを弾く若者」です。会場は比較的空いていて、じっくりとその絵を眺めることができました。



実は、先月のバロック音楽の旅13講座でこの絵をとりあげまして、受講生の皆さんにぜひ実物をご覧になってくださいと宣伝しておきましたので、何人かの方はきっと来ていらっしゃることだと思います。

目を凝らして見ていますと、あることに気づきました。講座で、「ヴァイオリンの弦も切れていますよ」なんて説明していたのですが、これは私の見間違いで、実物の画を見ると4本全部揃っていました。(笑)次回の講座で訂正とお詫びをしないといけません。

この展覧会の同作品は、解説に「ロンドンの個人コレクション」とありました。バロック音楽講座でもそれをパワポで映して解説しました。実はこのカラヴァッジョの「リュートを弾く若者」はなんと3枚ありまして、ひとつはこの展覧会のもの、これは最近出て来た物だそうです、あと2つはサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館とニューヨークのメトロポリタン美術館にあります。エルミタージュのものとメトロポリタンのものはテーマは同じですが、小道具がいろいろ異なっています。リュートが7コースと6コースと異なっていたり、リコーダーが置いてあったりなかったり、置いてある楽譜の曲も異なっていたり、背景も少し異なっています。

でも展示されているものとエルミタージュのものはクリソツです。これってひょっとしてどっちかが贋作?まぁシロウトには分かりませんので、専門家の議論に任せましょう。でも今のところそんな贋作議論もなさそうなので、どっちも本物ということなのでしょう。

私としてはテープルの上に開かれている楽譜の曲名に興味がありましたので、展覧会では目をじっくりと見てきました。ネットにちらばっている解像度の低い画では曲名や音符がはっきりしません。さすが超解像度の実物です。曲名というか歌詞の一部ははっきりとでていました。曲は楽譜見開きで3曲書かれていますが、1曲目の歌詞はヴァイオリンの弓で隠れているので、よくわかりません。イタリア語に堪能な方なら推測がつくかも知れませんが。2曲目は曲の始めが全部隠れているのでこれもわかりません。3曲目だけは歌詞の冒頭が出ています。「Voi sapete chi...」って書いてありました。sapeteはsepeteとかsopeteのように見えましたが、多分sapere(英語のknow)のsapeteでしょう。これをしっかりと頭に入れて、帰宅してから調べることにしました。

(づづく)

導入延期決定!

2019年11月02日 12時55分24秒 | 日々のこと
先日のエントリーで書きました、大学入試英語試験の民間試験導入が延期になりました。延期ではなくて廃止にしてもらいたいところです。この延期決定を受けて、ナントカ党の政治家達は力を結集して延期に追い込んだなんて息巻いていましたが、ホントに○○な人達です。このことを政争の道具にしてどうするんでしょう。こんな人達が何年か前に政権をとっていたのですから、今思うとぞっとします。

どうも政策決定に近い筋の人にきちんとした人がいないのが困りもののニッポンです。もう10数年前ですが、学校に「総合学習の時間」というのが導入されました。その何年か前、私は所用で文部科学省(最初は文部省でしたが)に出かけることがよくありました。
そのときに中くらいのエライさんにいろいろ尋ねてみました。すでに試行していた学校があったのですが、そういった学校はそもそも教育実践の実績のある学校であり、さらに教員も増補されているわけですが、一般の学校に教員の増補はあるのかと尋ねたところ、ないとの返事でした。これを聞いて、総合学習の成果は画に描いた餅だと強く思いました。
実際それが施行されますと、現場ではどうやっていいかよくわからず、あるいはそもそもそんな力量のある人もいなく、結局のところ修学旅行の準備に充てたり、50分ヒトコマの授業を10分ずつスライスして、毎朝の読書の時間にしたりして「消化」している有様というところが多かったようです。

こういう現場を無視した導入というのは、聞くところによると文部科学省におけるある種の勢力が幅を利かせていた結果だそうです。それを後押しする関連分野の大学の先生や現場の先生達のハクが上がるわけです。

教育の専門家が入っていない中央教育審議会が教育の方向を決めていく仕組みや、中央のお役所が実際の現場の状態が分かっていないとか勢力争いの場になっているという構造的な問題があるので、何かにつけマトモな結果が出ないようです。

きちんと議論していれば、小学校の英語教育導入や今回の大学入試における民間試験導入といった話は出てこないと思うのですが。もうそろそろちゃんとやらないと、この国は相当危ういです。