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となり町戦争

2010年12月08日 | レビュー
となり町戦争
三崎 亜記
集英社


ずいぶん前に書評で「とてもいい」と書いてあって、『読みたい本のリスト』に書いて持ち歩いていたところ、最近になってブックオフで見つけ、購入しました。ほかに読むものが大量にあって後回しになっていたのですが、今日ようやく読み終えることができました。アマゾンで書評を見ると賛否両論。全然わかんなかったというご意見も多数。でもわたしは、私が実習で豚の解剖をするときに「自分を第三者にしてはいけない」というのと相通ずるものを感じました。この本では見えない戦争に知らないうちに「自分も」加担しているということが描かれています。命をうばうということは「残酷なことだ」「いけないことだ」と言いながら、でも、私たちはやっぱり殺しているんですよね。この本では人の命なんですが、わたしが普段学生に話すのは、「食べ物を食べるのは命をいただくことだ。私たちは食べずには生きていけない。だから命に真正面から向き合うことを忘れてはいけない」ということです。ただ、今の世の中では目の前で殺さないから見えません。自分は「殺したりしない」と思い込んでしまいます。でも違います。命を奪わずに生きている人など、いない。この本では、となり町どうしが戦争を「地域振興」の手段として使うという設定でちょっとびっくりするような世界が描かれていますが、「命に向き合う」「自分のこととして考える」ということを考えさせてくれると思います。
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