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グラム染色、サーベイランス、、、

2015年07月07日 | 大学でのひとこま
動物衛生学を教えていて、細菌について説明するときにグラム染色の話をしました。以前、消毒について説明したときにもグラム染色について説明しています。グラム染色の陽陰で消毒薬の効果が異なるためです。実は学生たちはもっと前にも同じ話を聞いています。農場実習で消毒の実習をするときに、微生物学の知識がないと意味がないのでざっくりではありますが、細菌の話をしてあるのです。というわけで少なくとも3回はグラム染色の話を聞いているはず。が、先週グラム染色の陽性は何色?と聞いたら誰も答えられませんでした。わたしはかなりショックで、頭がくらっとしました、、、。

さて今日は、ウイルスの話をしていました。「感染症には疫学が非常に重要である。どの地域にどんな感染症が出ているのか、定点観測を行い、流行予測をする。」という話を以前疫学について学んだ時に説明しています。そこで今日は「サーベイランス」について覚えているか?と聞いたら、またもや誰も覚えていないのでした。

聞いたことがまったく頭に残らず消えていく、というのは学生には日常茶飯事といえます。もったいないことだなと思います。授業料を払って勉強しに来て、聞いた話をはしから忘れていくのでは、知力になどなるはずがない、、、。

いったいどうしてここまで流れてしまうのでしょうか?
頭が、聞いたことを流すくせがついてしまっているのだろうと思います。90分の講義中、頭を休めている。講義中は頭はフル稼働しなければ時間がもったいない。試験の前に勉強するとしても、まっさらな白いところにまた一から植え直すようなもので、すごい労力がかかっているはず。蒔いたものをいったんそれなりに畑に蓄えておけば、あとでやるにしてもそれほど大変じゃないのですが、、、。90分をもっと大事にしてもらいたいですね。

そのためには意識をもっていなければいけないと思います。
なんにも考えず時間を消費するために大学に来てはもったいない。聞いたことはその場で頭のどこかにつなぎとめたいものです。そのためには、日常の生活の中での意識も大事。私たちは生き物なんだから、私自身の毎日には生き物としての生理学があります。そこにつないでいけば、聞いたことは流れる一方にはならないんです。

たとえば消毒薬は家でも使っています。
キッチンハイターの中身はなんでしょうか?
それ、手指の消毒に使いますか?なぜ使わないの?消毒薬には効果は高いが粘膜や皮膚に使えないものがあるんですね。経験として知ってるはずのこのことを、次亜塩素酸ナトリウムの話を聞いたら思い出してもらいたいです。そこがつながるかつながらないか、で学んだことを自分のものにできるかどうかが全然違ってきます。

もう少し自分の身の回りのこと、自分自身のこと、に意識を持ちましょう、そして今この時を無駄にしないように。流さないようにしていきましょう。









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