院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

熱中症

2011-07-01 13:22:50 | Weblog
 昔はこうも熱中症、熱中症といわなかったように思う。熱中症という言葉自体がなかった。

 日射病、熱射病というのはあった。日射病にならぬよう帽子を被れと祖母にやかましく言われた。熱射病のほうは命にかかわる疾患だった。ただし、これにかかるのは溶鉱炉など高温現場での作業員に限られていた。こうした作業員には水と塩が不可欠だった。

 昔と較べて今はクーラーがある。それなのに何100人と熱中症で救急搬送される。昔はどうしていたのだろうか?

 炎天下で運動して大汗をかいても、水を飲むなと言われた。水を飲むとそれだけ汗をかくと。なんたる無知、なんたる非科学性。これでは自ら熱中症になれと言っているようなものだ。

 昔の人々はもっと熱中症で死んでいたと考えるのが合理的である。しかし、死因は分からなかった。老人が暑い部屋で熱中症で死んでいることがあるという。昔ならこれは老衰や心不全かなにかで片付けられていたのだろう。

 日射病というのは、服を緩めて木陰で休んでいれば治ると少年雑誌に書いてあった。当時、日射病と言っていたのは、たぶん熱中症である。だから、この少年雑誌の記事で何人の少年が死んだだろうか?

 熱中症でなくても、昔はよく子供が死んだ。熱中症であっても、他の病気に紛れて目立たなかったのだろう。子供が死んだからといって訴える人も昔はいなかった。