院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

NHKの番組「熱血授業」

2011-07-30 22:11:41 | Weblog
 NHKテレビで「熱血授業」という番組をやっている。最初はハーバード大かどこかのアメリカの大学での講義で、内容が私には簡単過ぎ、また翻訳でニュアンスが変わってしまうので、さして面白くなかった。

 今度は「熱血授業」の日本版が始まった。国際基督教大学の講義を放映していた。こちらのほうが面白かった。

 次は東京工業大学での講義が放映された。これが私には一番面白かった。

 工業大学なのに、なんと「法哲学」の授業。工業大学でも、こういう授業があるんだと初めて知った。

 「法哲学」とは、私の理解では法律の基礎論である。だから、法で裁くべき「罪」とは何か?「正義」とは何か?といった考察を深める学問分野である。

 「迷惑」とは何か?という講義が面白かった。教授の名前は忘れたが、学生と討論しながら自分のワールドに引き込んでいく技が見事だった。

 教授は「迷惑」と思われる場面を4つ挙げた。(あまりに馬鹿げたような場面が混ざっているので、教授はこの例は自分が作ったのではなく西洋の誰それの本に載っていると2回も断っていた。)

 諸君が何かの試験を受けに電車に乗っているとする。その電車以後の電車では試験に間に合わないので、嫌でも乗っていなくてはならない。

 そのとき、諸君の前で次のような行為をしている客がいた。(例は4つあったのだが、3つしか私は覚えていない。)

(1)諸君の席の前の客が裸だった。
(2)諸君の席の前の客が、弁当箱から生きた昆虫を出して、食べ始めた。
(3)諸君の席の前の客が、ラジカセを大音量で鳴らし始めた。

 教授はどれが一番迷惑かと問うた。学生からさまざまな意見や、何故そう思うかという感想が語られた。

 私にとって、(2)がもっとも面白い例だった。(2)が一番迷惑だと言った学生に対して、教授は「この人は別の民族かもしれない。その民族にとって昆虫が貴重な蛋白源だとしても、迷惑か?」と問いかけた。

 そこを糸口にして、大勢の学生からさまざまな意見が出てくる。まさに「熱血授業」だった。

 詳しくは、再放送を見られたい。でも、私が見たのがすでに再放送だったから、再々放送されるかどうかは分からない。