増えている待機児の問題は、大田区も例外ではありません。
こどもを産んだあとも働き続けたい、今すぐ働き始めたいと希望する多くの区民の需要に、大田区は、どのようにこたえていくべきなのか、2010年第一回定例会の一般質問において取り上げました。
*【1】出生数・こどもの数からみた大田区の待機児の背景
【2】大田区が行っているの待機児対策と4つの問題点
1.時間軸からみた待機児対策のポイント
①女性の就労需要の高まりと少子化
②幼稚園など他の子育て支援施設との関係
2.保育環境の確保と優先順位
①国基準緩和は最優先されるべきか
3.保育園のフレキシブルな運営と設計
①年齢別保育による硬直した保育所運営
4.長期的・戦略的視点にたった子育て支援計画
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大田区の待機児数
大田区の、待機児数は、2007年に144人まで減ったものの、2008年には242人、2009年には314人に増えています。
急激に減っていく大田区の出生数
一方で、大田区の人口は、2016年まで微増が予測されているものの、「労働力人口」や「出生数」はすでに減り始めています。1年間に新たに生まれる子どもの数は2009年5290人。5年後の2014年には約9%減。10年後には約18%減の4350人になると大田区では予測しています。また、0歳から5歳までの就学前の子どもの数も、2019年には11%約3400人、2024年には19%5800人減る計算です。
今後、就労需要の高まりによって保育園入園者数が一定程度増える事は予測されるものの大幅な出生数増は期待しえないのです。
大田区の保育需要試算(就労需要が同程度の場合)
この出生数予測をもとに今後の保育需要をおおよその目安として試算してみます。2009年度当初の「認可保育園」に「認証保育所」「指定保育室」「保育ママ」を加えた総定員は9553人。これに今年度当初の待機児314人を加えた9867人の入園希望者が、2014年には、現在と同様の保育需要を前提に人口の増減だけで単純計算すると9689人になります。その時には現在整備中の345人も定員として増えますので約200人の定員割れがおきる計算になります。また、2010年度予算に計上されている定員増が実現すれば定員割れはさらに拡大します。
それほどに少子化は進んでいくと予測されているのです。ここ数年の間におきる保育需要を社会がしっかり受け止めなければ、少子化に歯止めがかからず、労働人口はさらに減少します。待機児の問題が、特にここ数年の間に取り組まなければならない緊急の課題であるということがお分かりいただけると思います。
「仕事と家庭の両立支援」いわゆるワークライフバランスが今後の我が国における人口減少に伴う労働人口の減少を抑制する大きな鍵になりますが、本日は、そのなかの保育園あるいは子育て支援施設に限定してとりあげさせていただきます。