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憲法97条=最高法規 :基本的人権の本質削除とTPP『憲法を改正しなければ入れない?のがTPP?』

2013年07月20日 | ●選挙



自民党の憲法改正草案(2012年4月27日)について考えています。

自民党憲法改正草案Q&Aもありますのでご覧ください。

自民党憲法草案の条文解説


少しずつですが、憲法改正のことが、話題にのぼるようになってきました。

それでも、ご存知ない方も多く、また、取り上げられるとしても、大きく取り上げられているのは

【96条=「改正」】

【9条=「平和主義」「戦争の放棄」「戦力の不保持」「公選権の否認」】

などの改正です。 しかし、私が一番気になっているのが、

 最高法規
【憲法97条=基本的人権の本質】

です。

2012年4月27日の自民党憲法改正案では、この97条がまるごと削除されています。

私は、この憲法97条の削除は、TPP加盟に必須の準ではないかと位置づけています。

TPPは、日本国憲法の最高法規「基本的人権」に抵触する可能性の極めて高い条約では無いでしょうか。 

経済障壁を撤廃し、グローバル社会に対応しようとするTPPですが、経済のために、食や医療や健康や環境が、公的サービスのもとで公平に提供されるしくみが崩壊する可能性があります。

今日は、TPPと憲法97条の関係について気づいたことをお話しします。



 



◆TPPとは◆

経済が回っていくために、その障がいとなるものがあれば、それをなくしていきましょう」という国家間の約束です。

規制の緩和・撤廃により、効率的で合理的な経済活動により、利潤を最大化するための仕組みです。

ここで、問題になるのは、誰が、何を障がいとするか ということです。

◆誰が◆

ISD条項 を調べるとわかりますが、投資家や企業が、経済障壁について疑義を唱えそれを判断するのが、国際仲介機関 とされています。

Yahoo!百科事典ISD条項より:外国の投資家や企業が、進出国において相手国政府の法律や行政上の不備等で損害を被った場合、協定に基づいて相手国政府に対する損害賠償を国際仲介機関に訴えることができる)


TPPは、損害を受けた企業が、相手国政府に損害賠償を訴えることができるしくみです。


◆何を◆

TPPにおいて、外国企業から訴えられるのは、何でしょうか?


●農業や食
・安全性における問題もあり使用が禁じられている農薬・肥料・遺伝子組み換え種や作物。添加物。家畜のえさ。これらも、生産、販売する企業からみれば、表示の義務や使ってはいけないという規制は経済障がいになるかもしれません。

●医療保険や介護保険
・民間保険会社にすれば、国の医療保険や介護保険制度は、経済障がいに見えるかもしれません。
 TPPに加盟することで、公的医療保険制度が経済障壁と位置付けられれば、公的医療保険制度は崩壊することになります。
 
シッコ SiCKO』は、アメリカ合衆国の医療制度とキューバなどの医療制度との対比を行った、医療問題をテーマとしたドキュメンタリー調の映画。 ですが、保険に入っていなかったり、民間医療保険でカバーされず、大けがをしても、自分で傷口を縫ったり、指を切断しても、手術に中指6万ドル、薬指1万2千ドルかかるといわれ、薬指だけを選んで切断した指をごみ箱に捨てる様子が描かれています。
 
 TPPに加盟することで、日本の医療が、アメリカのようにはならないでしょうか。 

●雇用や労働
・失業保険における企業負担。雇用における最低賃金。これらはどうでしょう。
 日本の雇用保険は、雇用者と被雇用者がその負担を折半していますが、外国企業が負担を経済障壁ととらえた時、日本の失業保険は維持されていくでしょうか。
 最低賃金が競争力を阻害する経済障壁として訴えられることは無いでしょうか。
 
●環境
・排気ガス規制。建物のアスベスト解体。ダイオキシン濃度。守られるでしょうか。
 
 環境を守ることは、企業の経済負担を意味します。
 こうした経済負担が経済障壁ととらえられることは無いでしょうか。



経済障がいとして企業から訴えられる可能性がある多くは、私たちの基本的人権にかかわる部分  です。

規制緩和という問題を突き詰めて考えれば、最終的には、経済の利潤追求が、基本的人権という壁に突き当たります。

そして、すべての規制を撤廃するということは、

 経済の利潤追求基本的人権

を認めることにはならないでしょうか。



◆憲法とTPP◆

そこに、この、最高法規【憲法97条=基本的人権の本質】が、存在します。

【第九十七条】 
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである
       
⇒憲法の逐条解説では


 私たちが生まれながらにして持つ「基本的人権」【天賦付与説】は、憲法で保障されているから、政府は、その人権を守る責務を負っています。

 だから、政府は、公的制度や法令により、私たちの健康や環境を確保することで、基本的人権を守ってきたわけです。
 

 たとえ、TPPに加盟したとしても、日本国憲法第97条がある限り、政府には、私たちの基本的人権を守る責務が残ります。

 なぜなら、憲法は、「立憲主義」と言って、権力を縛るもの。

 天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他公務員が憲法を尊重し擁護する義務を負うと、第九十九条  に記されているからです。


◆憲法と条約◆

TPPは条約ですが、条約の位置づけは、法律の上、憲法の下というのが、現在の解釈の通説になっています。

⇒【第九十八条】
現在は判例はないものの、厳格な改正手続を要する憲法が条約によって容易に改廃できることとなるのは背理であるから憲法優位説がほぼ一致した通説となっている。


憲法97条がある限り、基本的人権を侵害することはできないのです。


最高法規【憲法97条=基本的人権の本質】がある限り、当たり前のことですが、基本的人権は、経済利益に優先されます。

再度繰り返します。

憲法97条の削除は、TPP加盟に必須の準ではないか


経済障壁を撤廃し、グローバル社会に対応しようとするTPPですが、経済のために、食や医療や健康や環境が、公的サービスのもとで公平に提供されるしくみが崩壊する可能性があり、基本的人権を政府が国民に確保できなくなる可能性があります。
なぜなら、天賦付与節に基づく国民の基本的人権を政府が守っていると、ISD条項により、企業から提訴される可能性が出てくるからです。

TPPは、日本国憲法の最高法規「基本的人権」に抵触する可能性の極めて高い条約
では無いでしょうか。 

このままの憲法では、TPPに加盟することができないのではないか。


だから、憲法を改正して、憲法と条約と法律との整合性をとるのではないか





97条が削除されてしまうと、憲法が保障する、生まれながらに日本国民が持ち将来にわたり侵すことのできない永久の権利である基本的人権は、政府がその時々で認める限定的・恣意的な人権になってしまいます。

この97条をまるごと削除している自民党の改正草案の意図は何でしょうか。



 




一方で、現行憲法97条の、現在及び将来の国民に対し、 と言う部分は非常に気になります。
憲法の条文が、将来の国民の人権をも侵すことのできない永久の権利として言及しているのです。
この部分をみると、改正すら制限しているように感じます。このあたりは、憲法学者など専門家の学説なども勉強していきたいと思います。

 

自民党は、憲法改正発議要件の緩和や、表現の自由が恣意的に制限できると言った部分について、批判が出ていることから、憲法改正草案を見直す方向で検討に入ったようです。

97条はどうなるでしょうか。


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