二回目の説明会で、JR東海は、聞きなれない調査掘進という言葉を使い始めました。
掘り始めの300mでシールドマシンが安全に動くか、確認するというのです。その後説明会を開催してから本掘進へ進む工程が公表されました。
*以下2つの画像は説明会資料
ところが、トンネル標準示方書は、初期掘進という名で、掘進時のデータや地盤沈下などの計測結果の収集を定めています。
トンネル標準示方書 [共通編]・同解説/[シールド工法編]・同解説 2016年制定 P202
一見、安全のために特別な調査をしているかのように聞こえる「調査掘進」ですが、仮にこの初期掘進と同じことしかしないなら、調査掘進は、掘り始めるための既成事実化でしかありません。
JR東海は、外環道の陥没事故が起きていながら、シールド工事をしようとしているのですから、リニアの工事が安全だということを示す責任があると思います。
調査掘進が、リニア工事の安全を担保するための特別な調査なら、初期掘進とはどう違うか説明すべきだと思います。
トンネル標準示方書 [共通編]・同解説/[シールド工法編]・同解説 2016年制定 より抜粋(黄マーカーは奈須が付した)
【解説】掘進は、初期掘進、本掘進、到達掘進に区分され、初期掘進から本屈掘進に移行する際に段取り替えを行うのが一般的である。掘進に際して留意すべきおもな点はつぎのとおりである。
1)掘進の区分と留意事項
①初期掘進 初期掘進にあたってはきめ細かい掘進管理を行い、本掘進時に必要となるデータを収集し、管理値の設定を行う必要がある。一般に初期掘進とは、シールドが立坑を発進してから、シールドの運転に必要な後続設備がトンネル構内に入るまでをいう。初期掘進中は、所定の計画線上を正確に進み、また周辺の路面や近接構造物への影響を最小限に抑えるため、シールド掘進時のデータや地盤沈下等の計測結果等を収集し、シールドの運動特性の把握およびカッターチャンバー内の土圧、泥酔土圧等の管理値や、裏込め注入圧、注入量の設定値等が適切であるかを確認する必要がある。また、作業員の機械の取り扱いに関して十分に習熟させることも必要である。