いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

弁護士出身の政治家群。 politician group from the ranks of the barrister

2012-05-28 19:59:45 | 日記
 (1)弁護士出身の政治家(politicians from the ranks of the barrister)が特徴になりつつある政界だ。民主党でも仙石、枝野さんと主要閣僚の経験者も多くて、首長では橋下大阪市長がよく知られていて、いづれも言動、行動で話題性も多く独断、一徹な(よくいえば筋を曲げない)主義主張で、ひとり突出した孤立した存在感である。

 社会正義のパラダイム(paradigm)としての弁護士のイメージとはかけ離れたエキセントリック(eccentric)な言動、行動で、だから政治家を志したといえば現在の政治の低迷そのもの、変に納得させるもので有難くない話だ。

 弁護士業務は、人が人を裁く不条理の世界で原告の公権力(検察)に対して、わずかであっても被告の人権弁護を不利益を擁護する仕事だから、結局は社会制度、仕組みの利益、不利益の壁に突きあたってさらに不条理性(unreasonableness)を実感させられるものだ。

 (2)政治の世界で社会の不条理性を少しでも緩和したいという、社会正義、公平性の優劣をはっきりつけたい意向にかられるのもうなずける弁護士出身の政治家転身の傾向だ。
 大阪維新の会の橋下大阪市長の大阪都構想を推進力とした地域政党の国政参画ムーブメントが既成政党不支持層の増加(50%)とあいまって発信力、影響力を持ってきたが、今度は弁護士出身の全国の市長13人を結束して全国弁護士市長会が発足した。

 「国政レベルで制定できない法律を地方の条例という形で制定して、~国のあり方を考える」(報道)というものだ。
 橋下市長も積極的ではないにしろ名前を連ねており、その橋下市長は社会正義をわかりやすく切り出しても極端に偏向して正当化した条例案(教育施行条例、職員規則条例)を打ち出して注目は集めている。

 職員の政治行動、選挙支援チェックのためにメールの無断検閲、政治活動アンケート調査を実施したり(指摘をうけて中断)、教員、公務員への処分、罰則規定を設けるなど「目的の正当化」のための「手法」に人権侵害、違法性を含めた問題点も多い。

 (3)社会正義のパラダイムとしての弁護士感覚で感じた不条理性を一気に解決しようという正義観念ばかりが先行して、わずかであっても反対の立場の不利益を擁護しようという弁護士視点、寛容さに欠けて、政治感覚としては危うさを伺わせるものだ。

 ただし、手法、方向性には問題があっても政治の透明性、何をやろうとしているのかの具体性がよくわかることでは、今までの政治家群像にはなかった特徴で国民の支持が高い理由だ。弁護士的一面性はある。

 (4)冒頭を含めたこういう突出した事例は、弁護士的思考のなせるものなのか、個人の人格、資質の問題なのかはそれぞれのケースもあるだろうが、弁護士出身の政治家が表舞台に登場して民主主義の理念が曲解されてパラドックス(paradox)として独断、独善政治のケースも目につく。それが自らの手によるマニフェストの崩壊を導いた。

 全国弁護士市長会結成も、「法律知識で国を動かす」と言って、既得権益(保護・実現)から見た政治手法とも受け取られて従来の目的のためには手法、手段を選ばない圧力団体まがいの先例(former example)印象はある。

 (5)弁護士出身政治家のこれまでのエキセントリックに突出した政治行動、傾向からも、わずかの不利益も擁護する弁護士視点、寛容さが生かされる本来の政治姿勢を発揮できるのか、まずは自浄改革努力が求められる。

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