(1)林芳正外相は、いわゆる「何かを持っている」、「何かを引き寄せる」、あるいは「巡りあわせの妙」のある政治家のようだ。父親も自民党で名の知れた政治家で何かと問題のある二世議員だが、参院議員では衆院議員が圧倒的に多い大臣にも何度か起用されて回数は際立って多く、文科相などの大臣不祥事での辞任にともなう途中緊急登板では林芳正議員頼みということもあった。
(2)岸田派所属で岸田首相に次ぐNo.2で、これまでも参院議員として岸田首相よりも早く自民党総裁選に立候補した経験(落選)があり、首相を目指すとして参院から衆院への鞍替えを目指して今年10月の衆院選で山口選挙区から立候補して衆院選に初当選した。
この参院から衆院への鞍替えでは、当時党内権勢を誇っていた二階幹事長派閥のベテラン現職議員と同じ選挙区が問題となり現職優先の二階幹事長の意向で林議員の衆院選鞍替えの党公認は暗礁に乗りかけた。
(3)ところが9月の党総裁選で突如当時の菅総裁(首相)が立候補を取りやめて、最初に総裁選に手を挙げた岸田文雄議員がその勢いのまま自民党総裁、首相になり折り合いの悪い二階幹事長が辞任することとなり、岸田派の林芳正議員がすんなり山口選挙区の自民党公認となり同選挙で圧勝して念願の衆院議員となった。
(4)さらに二階幹事長の辞任にともない岸田首相は茂木外相を後任幹事長に起用して、空いた外相に同じ山口別選挙区として山口県政治勢力を林議員と争う安倍元首相が反対する中、岸田首相はあえて林芳正衆院議員(初当選)を後任の外相に起用して、林芳正議員はあっという間に参院議員から衆院議員に、あげくのはてには外相就任へとトントン拍子の好転となった。
(5)巡り合わせの妙はまだまだ続く。林芳正外相は外相就任早々の12月に今度は外相就任後初めてのG7外相会合のため初の外交公式訪問が英国の「リバプール」(liverpool)となり出発した。リバプールといえばビートルズメンバーが生まれた街で、ビートルズがアマチュア時代に市内のキャバーンクラブ(ライブハウス)で音楽活動をしていたことで有名だ。
(6)林芳正外相はチューリップのファンで知られた存在で、自らも議員仲間とバンド「ギインズ」を結成してギターを担当してチューリップナンバーなどを演奏している。ビートルズに強い影響を受けたチューリップのファンというからには多分、ビートルズへの思いも強いと想像がつき、初の外国公式訪問が「リバプール」でのG7外相会合というのも何とも不思議な縁、巡り合わせの妙でもある。
おまけにG7外相会合の夕食会がビートルズ記念館で開催されて、報道によると林外相はそこの白いピアノでJ.レノンの「イマジン」を演奏披露して、周りを囲む各国外相などから拍手を送られていた。
(7)林外相は政治の資質、能力、意欲でも自民党内では将来の首相候補とも目されており、もちろん政治家、外相としての存在感、政策力、政治力、発信力が求められて、試される番であり、これまでの大臣在任中にはウイークデイの日中に都内のエクササイズに出かけて批判(本人は政治家は休日活動も多くあり、いつが休みと決められないと説明しているがこれは不適切)も受けており、まずは国、国民の期待に応える政治姿勢、結果を示すことが優先で大事だ。