(1)今年も変なことがあった。アベノ「マスク」が8千万枚余って保管費がかさみ、政府は年末にこれまたカネをかけて処分することになった。それを進めたその安倍元首相が首相前に所属していた自民党の最大派閥を引き継いで安倍派に衣替えして、新しい資本主義、成長と分配の好循環を掲げる岸田首相に「アベノミクスから変えることはすべきでない」(報道)として「成長から目を背けるととられないように~(新しい資本主義が)社会主義的な味付けになっているととられると市場もマイナスに反応する」(同)と注文をつけた。
(2)先の衆院選は安倍元政権、菅前政権の検証、評価が争点のひとつにもなっていて、安倍元首相のアベノミクスの大企業、富裕層優遇で中小企業、地方、国民に利益が回らない経済政策の問題点について総括されていないことが問題、焦点になっていた。
そういう評価に安倍元首相が反発しての「アベノミクスから変えることはすべきでない」発言なのかわからないが、12年の安倍元第2次政権誕生とともに金融政策の柱としてリフレ派の日銀黒田総裁がデフレ脱却に掲げた物価上昇2%達成目標は9年たっても上昇の見込みはなく、黒田総裁任期末までの実現は不可能な状況だ。
(3)岸田首相はアベノミクスの見直しから国民への利益分配で厚い中間層を構築する新しい資本主義にカジを切っており、今更アベノミクス堅持でもない。岸田首相も富裕層への金融所得課税の強化を打ち出して株価が降下したことから、分配論は発言低下して成長論が前面に出ることが多くなり変化もみられる。
(4)年末の過去最大の大型補正予算による賃上げ企業に対する法人税大幅減税が成長と分配の好循環に結びつくのかは新しい資本主義の成果、評価ともなるもので、行方が注目される。専門家からは法人税を負担しなくていい赤字中小企業には恩恵もなく効果は限定的との見方もあり、大企業中心に内部留保を積み上げる企業体質は安倍元政権でも賃上げはあっても経営基盤の弱い中小企業、円安による輸入品高の影響で国民には恩恵は向かわなかった。
(5)大胆な金融緩和策による円安株高効果の大企業、富裕層への恩恵だけをとらえてアベノミクスの成果、成功とすることにいつまでもこだわる安倍元首相には、国民の支持は向かわない。
アベノミクスは経済格差社会を生んで、世界的な格差社会の解消のためバイデン大統領は分厚い中間層実現のために財源として富裕層への課税強化策を打ち出しており、あるとしての役割とへい害のアベノミクスの時代は終わっている。