(1)2000年シドニー五輪で高橋尚子さん、04年アテネ五輪で野口みずきさんと2大会連続で金メダルを獲得した日本女子マラソンだが、その反動か最近は世界と戦えるランナーが見当たらない。
今夏北京で開催された世界陸上では31才の伊藤舞さんが7位に入賞したのが最高で、30キロを過ぎてペースアップした外国勢についていけなかった。
(2)女子マラソンの代表選考では対象レースに優勝したランナーよりも実績が優先されて元ランナーからも批判が起きるなど、不明朗な課題が残っていた。
トラック競技と違ってレースごとに条件、環境が違い比較検証もむずかしく、さりとて候補ランナー全員が参加する一レースで代表を決めるなどは、トラック競技と違ってランナーの年間レース計画の調整のむずかしさもあり、勇気のいる選択だ。
過去の男子の五輪選考で有力候補の瀬古利彦さんが対象レースをケガで出場できなかった例があり、複数レース対策による総合的な能力判断を行っているが、どうしても相互に納得のできる合理的な基準というわけにはいかない。
(3)今回の世界陸上女子マラソンでは日本人トップで8位入賞者には来年のリオ五輪代表に内定することが決まっていた。日本女子マラソン代表選考にしては随分と控えめな基準のように映るが、これが今の日本の女子マラソンの実力というところなのだろう。
望みは高いほうがよく、陸連はマラソン優勝者に億単位の賞金を用意するなどランナーの目標、目的意識の向上をはかっていることもあり、常に優勝を狙える位置(せいぜい5位以内)ぐらいの設定があってもよかった。
(4)五輪での国別メダル獲得数の比較など意味も意義もないと書いたが、勝利第一主義が賞金レースに近年の大量のドーピング疑惑につながって、アスリート能力の人工化(artificiality)に批難の目が向けられている。
今世界陸上は外国勢の中でも頭ひとつ抜け出た体力能力のボルトさんの2大会連続の短距離3冠の圧倒的な強さであり、日本人アスリートのトラック・フィールド種目の入賞者ゼロの結果だった。
(5)マラソンは2時間超の長いレースで体力、ペース配分、かけ引きが重要だといわれて経験がものをいうといわれてきたが、北京世界陸上の男子マラソンでははじめて19才の経験の浅いアフリカ・エリトリアのゲブレスラシエさんが優勝して、レース時間とは別の未知の領域のあたらしい歴史を刻んだ。
人間の進化の不変性(immutability)を見る思いだ。実際のレース能力とは別の目標、望みは高くすること、持つことが、人間の夢であり進化である。
(6)ことに日本女子マラソンは冒頭のようにこれまで有能、優秀な人材を輩出してきており、もっと高い目標、目的、望みを掲げて人間の夢と進化を届けてほしいものだった。
女子アスリートの30%は疲労骨折の経験者というデータもあり、近代的、科学的トレーニング技術とともに病理学的、生理学的な人体管理の先端的方法論(methodology)も確立すべきだ。
(7)それこそが人間の夢であり進化(dreaming and evolution of humanity)である。
今夏北京で開催された世界陸上では31才の伊藤舞さんが7位に入賞したのが最高で、30キロを過ぎてペースアップした外国勢についていけなかった。
(2)女子マラソンの代表選考では対象レースに優勝したランナーよりも実績が優先されて元ランナーからも批判が起きるなど、不明朗な課題が残っていた。
トラック競技と違ってレースごとに条件、環境が違い比較検証もむずかしく、さりとて候補ランナー全員が参加する一レースで代表を決めるなどは、トラック競技と違ってランナーの年間レース計画の調整のむずかしさもあり、勇気のいる選択だ。
過去の男子の五輪選考で有力候補の瀬古利彦さんが対象レースをケガで出場できなかった例があり、複数レース対策による総合的な能力判断を行っているが、どうしても相互に納得のできる合理的な基準というわけにはいかない。
(3)今回の世界陸上女子マラソンでは日本人トップで8位入賞者には来年のリオ五輪代表に内定することが決まっていた。日本女子マラソン代表選考にしては随分と控えめな基準のように映るが、これが今の日本の女子マラソンの実力というところなのだろう。
望みは高いほうがよく、陸連はマラソン優勝者に億単位の賞金を用意するなどランナーの目標、目的意識の向上をはかっていることもあり、常に優勝を狙える位置(せいぜい5位以内)ぐらいの設定があってもよかった。
(4)五輪での国別メダル獲得数の比較など意味も意義もないと書いたが、勝利第一主義が賞金レースに近年の大量のドーピング疑惑につながって、アスリート能力の人工化(artificiality)に批難の目が向けられている。
今世界陸上は外国勢の中でも頭ひとつ抜け出た体力能力のボルトさんの2大会連続の短距離3冠の圧倒的な強さであり、日本人アスリートのトラック・フィールド種目の入賞者ゼロの結果だった。
(5)マラソンは2時間超の長いレースで体力、ペース配分、かけ引きが重要だといわれて経験がものをいうといわれてきたが、北京世界陸上の男子マラソンでははじめて19才の経験の浅いアフリカ・エリトリアのゲブレスラシエさんが優勝して、レース時間とは別の未知の領域のあたらしい歴史を刻んだ。
人間の進化の不変性(immutability)を見る思いだ。実際のレース能力とは別の目標、望みは高くすること、持つことが、人間の夢であり進化である。
(6)ことに日本女子マラソンは冒頭のようにこれまで有能、優秀な人材を輩出してきており、もっと高い目標、目的、望みを掲げて人間の夢と進化を届けてほしいものだった。
女子アスリートの30%は疲労骨折の経験者というデータもあり、近代的、科学的トレーニング技術とともに病理学的、生理学的な人体管理の先端的方法論(methodology)も確立すべきだ。
(7)それこそが人間の夢であり進化(dreaming and evolution of humanity)である。