2021年の映画「映画大好きポンポさん」を見ました。
伝説の大プロデューサーである祖父から、その才能を受け継いだ銀幕の申し子・ポンポさん。そんな彼女の製作アシスタントとして働いていたジーンに、遂に映画監督を任されることとなる。脚本ポンポさん、主演には10年ぶりの復帰作となる世界一の俳優マーティンと新人女優ナタリーが起用される。果たして映画は完成するのか……?
といった感じで始まる本作。この出だしで私の頭の中には「新人監督と新人女優が、世界一の俳優やポンポさんたちに振り回されつつも、スタッフたちとの親交を深めていき、無事に映画を完成させる」という安直な「映画の撮影」に関する物語が浮かんでいました。
が、実際のところ撮影は順調そのもの。自身が世界一の俳優であることを盾に権威を振りかざしたりせず、現場にアットホームな空気を作り出すマーティンをはじめ、スタッフたちとの関係も良好であり、現場ではピンチをチャンスに変える新しいアイディアが溢れてくる。途中、一旦ポンポさんが現場を離れたり、ジーンの知り合いである銀行マン・アランが登場した時には「ポンポさん不在でトラブル続発!?」「アランの言葉でジーン意気消沈!?」と思ったら、そんなこともなく……
ここら辺で本作の上映時間は全体のおよそ半分。「え?じゃあこの後は何を描くの?」と思ったら、ここからが本作の見所となります。
確かに良い画は撮影できた。しかし、逆に言えば撮れ過ぎた。劇中でポンポさんが「2時間以上の集中を観客に求めるのは現代の娯楽として優しくないわ」「制作者はしっかり取捨選択して、できるかぎり簡潔に伝えたいメッセージを表現すべきよ」と語っていたように、どれだけ良い画だろうと「映画」の枠に納めなければ意味がない。ジーンのように映画好きであれば3時間でも4時間でも見ていられるかもしれませんが、そういう人物ばかりでもない。実際、私は「グリーンマイル」は名作だとは思いますが、あれを中学生の頃に見た時に真っ先に出てきた感想は「長い」でした(苦笑。テレビや映像ソフト等で見るならまだしも、映画館であれだけ長い時間拘束されるのは少々きつかったですね。
如何に良い画が撮れたとしても、その全てを垂れ流しにするわけにはいかない。映画は撮影しただけでは完成しないのだと、当たり前のことに気づかされました。
何を残し、何を切り捨てるか。考えを巡らせるジーンは映画と向き合ううちに、あることに気づかされ……と、ここからの展開がとにかく熱い!自分のやるべきこと、やりたいことをしっかりと見据えたジーンやアランを、心の底から応援したくなる展開の連続でした。
監督として現場を見続け、映画が大好きなジーンだからこそ、撮影した一瞬一瞬に思い入れがある。そのシーンを生み出すためにみんなが頑張ったことを知っている。それでも切らなければならない。映画撮影が順調だったのも、この「切り捨てる」ことの辛さを見ている人に伝えるためだったのかと合点がいきました。そして、切り捨てたのは何のためか……曲のかかるタイミングもバッチリで、最高に盛り上がるクライマックスとなっております。
また、本作の見所としては登場人物の人の良さが挙げられますね。登場人物全てに好印象をもてるため、見ていて全く嫌な気持ちになりません。個人的な推しは受付嬢さんです(笑。アランの上司は最初こそアランと仲がよろしくないようにも見えますが、アランへの注意は理にかなっているものでしたし、前を向き始めたアランを支えてくれる、頼もしい存在でした。
好感のもてる登場人物たち、鮮やかな場面転換、順調に進む撮影、故にどこを切って残すかの悩みが生まれ……それでも決して諦めない。ただ一つ残った、諦めたくないものに情熱を注ぐ人々の熱い物語を堪能させていただきました。最後の一言も、エンドロールも完璧というほかありません。ありがとうございました!
伝説の大プロデューサーである祖父から、その才能を受け継いだ銀幕の申し子・ポンポさん。そんな彼女の製作アシスタントとして働いていたジーンに、遂に映画監督を任されることとなる。脚本ポンポさん、主演には10年ぶりの復帰作となる世界一の俳優マーティンと新人女優ナタリーが起用される。果たして映画は完成するのか……?
といった感じで始まる本作。この出だしで私の頭の中には「新人監督と新人女優が、世界一の俳優やポンポさんたちに振り回されつつも、スタッフたちとの親交を深めていき、無事に映画を完成させる」という安直な「映画の撮影」に関する物語が浮かんでいました。
が、実際のところ撮影は順調そのもの。自身が世界一の俳優であることを盾に権威を振りかざしたりせず、現場にアットホームな空気を作り出すマーティンをはじめ、スタッフたちとの関係も良好であり、現場ではピンチをチャンスに変える新しいアイディアが溢れてくる。途中、一旦ポンポさんが現場を離れたり、ジーンの知り合いである銀行マン・アランが登場した時には「ポンポさん不在でトラブル続発!?」「アランの言葉でジーン意気消沈!?」と思ったら、そんなこともなく……
ここら辺で本作の上映時間は全体のおよそ半分。「え?じゃあこの後は何を描くの?」と思ったら、ここからが本作の見所となります。
確かに良い画は撮影できた。しかし、逆に言えば撮れ過ぎた。劇中でポンポさんが「2時間以上の集中を観客に求めるのは現代の娯楽として優しくないわ」「制作者はしっかり取捨選択して、できるかぎり簡潔に伝えたいメッセージを表現すべきよ」と語っていたように、どれだけ良い画だろうと「映画」の枠に納めなければ意味がない。ジーンのように映画好きであれば3時間でも4時間でも見ていられるかもしれませんが、そういう人物ばかりでもない。実際、私は「グリーンマイル」は名作だとは思いますが、あれを中学生の頃に見た時に真っ先に出てきた感想は「長い」でした(苦笑。テレビや映像ソフト等で見るならまだしも、映画館であれだけ長い時間拘束されるのは少々きつかったですね。
如何に良い画が撮れたとしても、その全てを垂れ流しにするわけにはいかない。映画は撮影しただけでは完成しないのだと、当たり前のことに気づかされました。
何を残し、何を切り捨てるか。考えを巡らせるジーンは映画と向き合ううちに、あることに気づかされ……と、ここからの展開がとにかく熱い!自分のやるべきこと、やりたいことをしっかりと見据えたジーンやアランを、心の底から応援したくなる展開の連続でした。
監督として現場を見続け、映画が大好きなジーンだからこそ、撮影した一瞬一瞬に思い入れがある。そのシーンを生み出すためにみんなが頑張ったことを知っている。それでも切らなければならない。映画撮影が順調だったのも、この「切り捨てる」ことの辛さを見ている人に伝えるためだったのかと合点がいきました。そして、切り捨てたのは何のためか……曲のかかるタイミングもバッチリで、最高に盛り上がるクライマックスとなっております。
また、本作の見所としては登場人物の人の良さが挙げられますね。登場人物全てに好印象をもてるため、見ていて全く嫌な気持ちになりません。個人的な推しは受付嬢さんです(笑。アランの上司は最初こそアランと仲がよろしくないようにも見えますが、アランへの注意は理にかなっているものでしたし、前を向き始めたアランを支えてくれる、頼もしい存在でした。
好感のもてる登場人物たち、鮮やかな場面転換、順調に進む撮影、故にどこを切って残すかの悩みが生まれ……それでも決して諦めない。ただ一つ残った、諦めたくないものに情熱を注ぐ人々の熱い物語を堪能させていただきました。最後の一言も、エンドロールも完璧というほかありません。ありがとうございました!