朧の森に棲む鬼 &

2024-12-21 09:03:57 | 古典芸能
めちゃくちゃ良かった!

めちゃ泣けた!

幸四郎さんが悪に徹すれば徹するほど、右近君のピュアさが引き立って、もう泣けて仕方ない!

ぶっちゃけ、導入部が理解出来てなくて、関係性が分からず物語についていけるか心配になりましたが、

多分、100%ではないが、理解できていると思う。

やっぱ、中島さんの脚本最高!!

言葉が生きてる!後々随所で光ってくる!

リチャード三世だけでなくマクベスの要素も大江山の鬼伝説も取り入れてあり、めちゃくちゃ面白かった!

第二部は泣けて泣けて仕方なかった!


いのうえさんの演出も素晴らしく、つけ打ちは当然としても、今回は長唄やお囃子を取り入れていて、劇団新感線のスーパー殺陣満載の中に歌舞伎要素もふんだんに取り入れられていて、テンポよくこれぞいのうえ歌舞伎による歌舞伎NEXT を堪能させて頂きまさした!

三枚舌ならぬ十枚舌の盗賊が不死身の力を得て、敵も見方と仲間まで騙しに騙して殺しに殺しにて国王?天皇?にまでのしあがっていく様が、さまにリチャード三世。

最初は悪人だけど愛嬌があったが、国王の地位を得てからはまさに超極悪人。

幸四郎さんのまさしく悪魔に取り憑かれたかのような表現がめちゃくちゃ素晴らしかった!

口八丁手八丁の大嘘つきの盗賊が、朧の森に棲む魔物に魂を売り、自ら鬼と化する超極悪人をものの見事に演じられ、第二部はマジあっぱれでした!

幸四郎さんが極悪人に徹すれば徹するたびに、周りが善人に見えてくる不思議現象が起こり、もちろんこれは脚本演出と演技が素晴らしいことは言うまでもないですが、

ここまで吹っ切れてくれたら最高!!!としか言いようがない。

改めて幸四郎さんのお芝居の上手さに唸りました!

もちろん、幸四郎さんに限らず役者陣皆さんが完璧な役作りとアプローチ!

お父様(萬壽さん)から名跡を受け継いだ時蔵君が、こんなにも芝居心があるとは思わなかった!

私の中では、観てきた役のイメージがあるからですが、寡黙な人のイメージしかなかったので、女形だけど男勝りの武将?を、時には男のように勇ましく、時には二人の男(一人は死んでいる)の間で女心が揺らいでいる様がめちゃくちゃ上手く表現されていて

時蔵さんが、こんなに感情豊かに表情される方だとは思ってもみなかった!

染五郎君も最初誰だか分からなかった。どこのイケメンだ?と思って休憩中に配役を見てびっくり!めちゃくちゃ男っぷりが上がってるやん!!

九月公演に観た染五郎君からは想像がつかないくらいの男ふっり!スピード感がある殺陣も素晴らしくマジ見違えた!

YouTubeで観た、歌舞伎の絵を描いているいかにも文系のイメージしかなかった染五郎君が、めちゃ体育会系な声の出し方、劇団新感線の役者さん並みの太刀さばきがマジ圧巻だった!めちゃカッコ良かった!

やはり、幸四郎さんのご子息であることを証明する演技と存在感でした。

二人が親子であることを忘れてしまうくらい、役になりきっていて、二人の殺陣シーンはマジあっぱれでした!

猿弥さんがめちゃ美味しい役で、猿弥さんにも泣かされたよ!

そして、右近君が最高に良かった!

いやいやいやいや、MVPもん!

キャラ作りが完璧!一部と二部の見せ方が素晴らしい!!

めちゃ泣かされた!

松也君は、幸四郎さんとダブルキャストなので、幸四郎さんがライ役の時は、貞光役ではありますが、お化粧が濃すぎて誰だか分からんかった!そんなに出番はないけど美味しい役に仕上げたね。コメディリリーフ的存在かな?

幸四郎さんと染五郎君親子のガッツリ絡みがありましたが、同じ親子の新悟君と彌十郎さんもガッツリ絡みがありましたね。実の親子であることを完全に忘れてました。

二人とも珍しくキャラ変していてびっくり!新悟君もコメディリリーフ的役割で、彌十郎さんは好い人だった。二人とも単純にコメディリリーフでないだけに…、あ~言えない。

今回のキャスト陣は、マジ私の偏見を完全に覆す素晴らしいキャラ作りでした!

今回は正面席じゃなく、下手サイド席で観させてもらったので全く花道が見えず、しかも花道のお芝居がめちゃくちゃ多い!

備え付けのテレビ画面で見るしかなかったのですが、ラストの宙乗りは間近で拝見できたので全て帳消し!

博多座公演を見られる方はタオル必携ですよ!

帰り、いのうえさんが楽屋口が出られるのを拝見しました。本当に素晴らしい作品でした!と伝えたかったよ。


ということで、9月以来の東京に行ってきました。

もちろん、メインは、こちらではなく、玉三郎さんと團子君の「天守物語」だったのですが…、

圧倒的に「朧の森に棲む鬼」が良かった。

新橋演舞場で観たあと、歌舞伎座で「鷺娘」「舞鶴雪月花」「天守物語」を観させてもらいました。


意外と良かったのが、全く期待してなかった勘九郎さんと長三郎君の「舞鶴雪月花」だったんよね。勘九郎さんの女形が意外と良かった!

こちらも親子共演でしたが、「松虫」の場面では、勘九郎さんがまるで長三郎君に表現の仕方を見て学べと言わんかのようにお手本的な見せ方になっていたのが印象的だった。勘九郎さんの松虫としての飛び方の表現が上手かった。長三郎君は可愛かった。

あの広い舞台を一人で立つ長三郎君がよく頑張ってたよ。

勘九郎さんの雪達磨も、ほぼマイム演技だったのでその表現が上手かった。太陽が出たらそりゃ溶けるよね?の表現が良かった。

七之助丈の「鷺娘」は、幕見席でを観させてもらいました。引抜きが見応えがありました。七之助丈がめちゃくちゃ若返りしているように見えた。めちゃ可愛かった。

ただ、映像でちょこっとだけ観た菊様の鷺娘が儚さと可憐さがあって素晴らしかったので、ラストは、七之助丈はちと儚げさが足りなかったかな?と思ってしまった。すみません。m(_ _)m


そして、ここからは失礼を承知で書かせて頂きます。

あくまで私が感じたことですと前置きときます。

今回、玉三郎さんの冨姫と團子君の図書之助を観なかった絶対に後悔すると思って急遽観に行くことにしたんですが…

「天守物語」は、七之助丈の冨姫と虎之助君の図書之助コンビの方が断トツで良かった。泉鏡花のメッセージがびんびん伝わってきて、世界観にも入り込めた。

玉三郎さんと團子君の場合は、

前半の玉三郎さんの冨姫と七之助丈の亀姫のシーンは良かった。

後半、図書之助が登場してからが…。

團子君は、今回は、今まで猿翁さん似た台詞回しと違って、喋り方を変えていた。猿翁さんの真似事ではなく團子君の図書之助を作りあげようと玉三郎さんが意図してのことだと推察。

お腹からしっかり声を出していてめちゃ太い声を発して、めちゃくちゃ良かったんだよ、声はね。いかんせん、感情が全然乗ってない。太い声を出すことで精一杯で肝心な感情がおいてけぼりになっていた。ただ頑張って台詞を喋っているだけにしか聞こえなかった。冨姫のことちゃんと愛しく思って演じていたのか甚だ疑問でしかなかった。

玉三郎さんの冨姫も、前半の亀姫との浮世離れした表現は良かったんだよ。図書之助と初めて会ったときの冷静かつ品格がある態度も良かったし、図書之助に心を奪われる様も良かったんだけど、

玉三郎さんが意図してなのかは分からないが、シリアスなシーンなのに随所に笑いが起こって興ざめ。

図書之助への告白、その前に獅子に本心を打ち明ける様など、だんだんリアルな感情が伝わってこなくて、二人の会話なんてまるで師匠と弟子の会話にしか聞こえなかった。

映像で観たけど、玉三郎さんは虎之助君にはめちゃダメ出ししてたのに、そのダメ出しが素晴らしい図書之助へと導いたと思っていたのに…。

今回は、ヴィジュアルは文句ないのに、正直うーんって思ってしまった。

偉そうなことを書いて申し訳ありません。

メイン二人はよしとして、やはり、吉弥さんがめちゃくちゃ素晴らしい!お芝居が本当に上手い!今年様々な役の吉弥さんを拝見してますが、どれも秀逸だった。歌舞伎じゃなくてまさにガラスの仮面。

天守閣から下界を見下ろして状況説明する台詞表現がリアルガラスの仮面だった。情景が映像として見えてくる。

獅童さんもめちゃくちゃ良かった!獅童さんもめちゃ情感が伝わる表現だった。

歌昇君もめちゃ太い声出していたが、ちゃんと情感が伝わる演技だった。

芝のぶさんも出ていて嬉しかった。

月が描かれた緞帳を演出に取り入れたのも良かったのに、前半が良かっただけに後半が残念でした。