令和4年4月29日
水田で小麦増産支援 国産米粉の利用促す
政府、物価高対策を決定
政府は28日、物価高騰の緊急対策を閣議決定し、農林水産業の対策に2022年度予備費から751億円を充てた。
対策の詳細が明らかになり、輸入小麦の高騰対策では、水田での小麦生産拡大を後押し。
団地化を要件に機械導入などを支援する事業を展開する。
食品製造業者に、国産米粉などの利用を促す施策も措置した。
輸入小麦の代替として、国産小麦の活用を進めるため、「国産小麦供給体制整備緊急対策事業」に25億円を措置。
水田の裏作で生産する農家が対象で、団地化が要件。団地化の話し合いや圃場(ほじょう)の簡易改修などの経費を支援。
5000万円未満の機械・施設の導入経費を半額以内で助成する。
新品種導入なども10アール当たり1万5000円を上限に支援。
麦の作付け拡大分に同1万円を交付する措置も設ける。
5戸以上の農家グループやJA単位などでの取り組みが対象。
28日に募集を始めた。
JAを含む食品製造業者が、輸入小麦から国産米粉・小麦などに原材料を切り替える際に助成する「輸入小麦等食品原材料価格高騰緊急対策事業」には100億円を計上。
原材料を切り替えた際の商品開発費などを半額以内で補助する。
配合飼料で国とメーカーが財源を積む異常補填基金には435億円を積み増す。
加えて4~6月期、7~9月期の発動要件を緩和。
従来は、輸入原料価格が直近1年間の平均を15%上回った場合に発動していたが、同12・5%を上回れば発動するようにする。
肥料対策では、メーカーが代替国から秋肥の原料を調達する際に発生する、輸送費などのかかり増し経費の支援に100億円を計上。
農家の土壌診断やコスト低減技術の導入を支援する「肥料コスト低減体系緊急転換事業」では要件を緩和する。
従来は土壌診断と技術導入の両方が必要だったが、いずれかでも対象とする。
28日に募集を始めた。
関連ブログ
2022年度の予備費から農林水産関係に751億円を支出する方針 - 安東伸昭ブログ (goo.ne.jp)
農水省、食品への価格転嫁要請
農水省は28日、食品の製造や小売りなど各業界団体に対し、原材料費や物流費の高騰分を商品価格に転嫁するよう、金子原二郎農相名で協力を要請した。
円安やウクライナ情勢でコスト上昇が加速する中、食品の価格転嫁の交渉が難航している実態を踏まえた。
同省は食品等流通法に基づき、食品の取引状況や流通についての調査をしている。
2021年度は7~11月、農業者団体、製造、卸など納入業者、小売り、物流業者など41事業者に聞いた。
価格決定では、買い手有利の一方的な決定は減少。
一方、小売業者は消費者の反応や競合スーパーとの競争の面から、価格転嫁に消極的な姿勢が根強かった。
物流では、燃料費などコスト上昇に見合う適切な運賃を荷主に請求できない運送業者が多かった。
同省食品流通課は「公正取引委員会や中小企業庁と連携し、継続したヒアリングや事業者への助言、指導に取り組む」とする。