日本橋の展覧会ふたつ。
両方とも18日までなので、いただいたチケットが無駄にならないように、
あせって観にいきました(・ω・;A
①没後50年 北大路魯山人展@日本橋高島屋
全国を巡回している展覧会に、高島屋はポルトガルより里帰りの
漆の壁画を加えての展示です。

(HPより引用。)
「天賦の感性に導かれた、美と食の巨人。
陶芸と美食の大家として広く知られている北大路魯山人。
その芸術活動は刻字、書、画、漆芸と多岐にわたります。
魯山人自身の並々ならぬ研鑽と、
それぞれその道を究めた芸術家や職人との出会いにより、
天賦の美的感性がさらに磨かれ、大きく開花しました。
本展では、彼の手がけた多彩な作品200余点と、
顧問兼料理長を務めた会員制の料亭「星岡茶寮」で
使用された食器30余組も展観いたします。

さらに特筆すべきは、魯山人70歳の時の壁画「桜」(幅約4m)と
「富士」(幅約2m)の特別展示。
当時パナマ船籍のアンドレ・ディロン号の船室を飾るために制作された、
生涯随一の大作です。
完成後、日本橋島屋に展示され、
その後船は航海に出て日本に戻ることはありませんでした。
2009年は魯山人没後50年、
そして翌2010年は折しも日本・ポルトガル修好150周年。
この記念すべき年に、約57年ぶりにポルトガルより里帰りする壁画を含め、
北大路魯山人の芸術の全容を、心ゆくまでお楽しみください。」
作品を実際に見る前、魯山人に対してもっていたイメージは、
あまりいいものではありませんでした。
職場によく「魯山人のような器を作りたい」方がおみえになったのですが、
出来上がったものは重いは歪んでいるは・・(笑)
しかし、陶芸に関わる以上、これだけ愛されているものを
見ないわけにはいかないと、偏見は捨ててみることにしました。
そこで昨年秋に八王子の夢美術館で観て、今回は2度目なのですが、
前回はほとんどなかった濡額や書画、漆芸の展示も数多く、
多角的な理解が可能になり、魯山人のイメージが変わりました。
夢美術館では米国人コレクターのコレクションが中心となっていて、
陶芸のダイナミックな作品が印象的だったのですが、
今回高島屋の展示で、新たに
魯山人の繊細さと優れた色彩感覚を知ったのです。
繊細さはたとえば漆芸の作品でいうと、
「一閑張日月椀」という有名な作品がありますが、
この箔の張り方ひとつのこだわりに現れています。

よく見ると、丸く張られた箔の表面が綺麗ではありません。
私は、使われるうちにこのように変化したのだろうと思っていましたが、
カタログを読むと、これはわざわざこのようにざらっとした表面に仕上げるため、
皺を寄せて張る山中塗りの職人さんを探し出したのだそうです。
現在でも、同じデザインのものが作られていますが、箔が綺麗に張られ、
また微妙に円の大きさが違い、魯山人のものとは違います。
ディテールへのこだわりによって出来上がった美なのです。
もちろん、彼に漆芸はできませんから、
デザインしたものを目に適った人に発注していたようです。
優れた色彩感覚は、夢美術館の展示ではあまり感じなかったのですが、
今回「赤絵金彩紅葉絵鉢」「色絵椿文大鉢」、


「伊賀しのぎ手四方平皿」「銀彩丸皿」「刷毛目釘彫三島風茶碗」、
また画の「赤絵鉢の図」などで特に強く感じました。
魯山人の陶芸作品の作風の違いも、さまざまな職人さんの助けを
借りていると知って理解できました。
産地に赴いて作ったこともあれば、
鎌倉に作られた星岡窯で焼かれたものもあります。
「魯山人」とは「魯山人工房」であったのですね。
形はほとんど職人さんが作り、彼は仕上げをしただけのようです。
きっちりとろくろで挽かれたものもあれば、稚拙な感じのものもあり、
どこまでが彼の手になるものか、分からなかったのです。
しかし、死後、彼の手伝いをしていた職人さんが
同じ型を使って再現しようとしても
似て非なるものしかできなかったそうですから、
この仕上げで彼が作品に命を吹き込んでいたのが分かります。
それにしても、カタログと本物の色がかなり違っていてがっかりしました。
織部は青が強すぎるし、灰色、薄い緑などの
柔らかな色がとんでしまっています。
備前は赤が勝ちすぎていて、もう少し渋いかも・・と悲しくなりました。
でも、あとから記憶を呼び起こすための手がかりとなるので、買い求めました。
よい展示だったと思うだけに、残念でなりません。
② アンコールワット展@日本橋三越
高島屋から日本橋を渡って、5分ほどで三越です。
途中、日本橋の袂で道路の始点となる「道路元標」のレプリカを撮ります。
本物は日本橋の真ん中にあるらしいです。

三越の「アンコールワット展」、人が多くて入り口付近ですでにぐったり。
(-ω-;平日なのになあ
三越カードをもっていれば無料なので、
買い物帰りに立ち寄る人が多いようです。
ビデオ画面の周りの人で先に進めなかったり、
迷路のような展示の仕方にも問題はあると思いますが、
展示品と観客数に対して展示スペースが狭すぎると思いました。
上智大学の現学長が内戦によって帰国を余儀なくされ、
戦後、ポル・ポト派により破壊された遺跡から発掘した仏像が中心の展示です。
今までカンボジアはあまり身近な国ではなく、
アンコール・ワットの遺跡にも興味を持ったことがなかったので、
何をどう見たらいいのかわかりませんが、日本のものと比べて
仏像が威圧的ではなくやさしい感じと思いました。
象の頭のガネーシャ、かわいいです。
仏陀がとぐろをまいた蛇を座布団のようにして座っているのが面白いです。
日本では見られない。
蛇神と戦うシヴァ神の砂岩のレリーフは、
水しぶきの表現が素晴らしかったです。
蛇が多いのは、日常に蛇が多いからでしょうか。
プノンペン国立博物館蔵、20世紀初頭のカンボジア版「ラーマーヤナ」
リアム・ケーの画がお話とともに10枚ほど展示してあり、
ゆっくりと観たかったけれど、
後からの人に押されて立ち止まっていられなくて・・。
リアム・ケーは絵本になっているとよかったと思いました。
両方とも18日までなので、いただいたチケットが無駄にならないように、
あせって観にいきました(・ω・;A
①没後50年 北大路魯山人展@日本橋高島屋
全国を巡回している展覧会に、高島屋はポルトガルより里帰りの
漆の壁画を加えての展示です。

(HPより引用。)
「天賦の感性に導かれた、美と食の巨人。
陶芸と美食の大家として広く知られている北大路魯山人。
その芸術活動は刻字、書、画、漆芸と多岐にわたります。
魯山人自身の並々ならぬ研鑽と、
それぞれその道を究めた芸術家や職人との出会いにより、
天賦の美的感性がさらに磨かれ、大きく開花しました。
本展では、彼の手がけた多彩な作品200余点と、
顧問兼料理長を務めた会員制の料亭「星岡茶寮」で
使用された食器30余組も展観いたします。

さらに特筆すべきは、魯山人70歳の時の壁画「桜」(幅約4m)と
「富士」(幅約2m)の特別展示。
当時パナマ船籍のアンドレ・ディロン号の船室を飾るために制作された、
生涯随一の大作です。
完成後、日本橋島屋に展示され、
その後船は航海に出て日本に戻ることはありませんでした。
2009年は魯山人没後50年、
そして翌2010年は折しも日本・ポルトガル修好150周年。
この記念すべき年に、約57年ぶりにポルトガルより里帰りする壁画を含め、
北大路魯山人の芸術の全容を、心ゆくまでお楽しみください。」
作品を実際に見る前、魯山人に対してもっていたイメージは、
あまりいいものではありませんでした。
職場によく「魯山人のような器を作りたい」方がおみえになったのですが、
出来上がったものは重いは歪んでいるは・・(笑)
しかし、陶芸に関わる以上、これだけ愛されているものを
見ないわけにはいかないと、偏見は捨ててみることにしました。
そこで昨年秋に八王子の夢美術館で観て、今回は2度目なのですが、
前回はほとんどなかった濡額や書画、漆芸の展示も数多く、
多角的な理解が可能になり、魯山人のイメージが変わりました。
夢美術館では米国人コレクターのコレクションが中心となっていて、
陶芸のダイナミックな作品が印象的だったのですが、
今回高島屋の展示で、新たに
魯山人の繊細さと優れた色彩感覚を知ったのです。
繊細さはたとえば漆芸の作品でいうと、
「一閑張日月椀」という有名な作品がありますが、
この箔の張り方ひとつのこだわりに現れています。

よく見ると、丸く張られた箔の表面が綺麗ではありません。
私は、使われるうちにこのように変化したのだろうと思っていましたが、
カタログを読むと、これはわざわざこのようにざらっとした表面に仕上げるため、
皺を寄せて張る山中塗りの職人さんを探し出したのだそうです。
現在でも、同じデザインのものが作られていますが、箔が綺麗に張られ、
また微妙に円の大きさが違い、魯山人のものとは違います。
ディテールへのこだわりによって出来上がった美なのです。
もちろん、彼に漆芸はできませんから、
デザインしたものを目に適った人に発注していたようです。
優れた色彩感覚は、夢美術館の展示ではあまり感じなかったのですが、
今回「赤絵金彩紅葉絵鉢」「色絵椿文大鉢」、


「伊賀しのぎ手四方平皿」「銀彩丸皿」「刷毛目釘彫三島風茶碗」、
また画の「赤絵鉢の図」などで特に強く感じました。
魯山人の陶芸作品の作風の違いも、さまざまな職人さんの助けを
借りていると知って理解できました。
産地に赴いて作ったこともあれば、
鎌倉に作られた星岡窯で焼かれたものもあります。
「魯山人」とは「魯山人工房」であったのですね。
形はほとんど職人さんが作り、彼は仕上げをしただけのようです。
きっちりとろくろで挽かれたものもあれば、稚拙な感じのものもあり、
どこまでが彼の手になるものか、分からなかったのです。
しかし、死後、彼の手伝いをしていた職人さんが
同じ型を使って再現しようとしても
似て非なるものしかできなかったそうですから、
この仕上げで彼が作品に命を吹き込んでいたのが分かります。
それにしても、カタログと本物の色がかなり違っていてがっかりしました。
織部は青が強すぎるし、灰色、薄い緑などの
柔らかな色がとんでしまっています。
備前は赤が勝ちすぎていて、もう少し渋いかも・・と悲しくなりました。
でも、あとから記憶を呼び起こすための手がかりとなるので、買い求めました。
よい展示だったと思うだけに、残念でなりません。
② アンコールワット展@日本橋三越
高島屋から日本橋を渡って、5分ほどで三越です。
途中、日本橋の袂で道路の始点となる「道路元標」のレプリカを撮ります。
本物は日本橋の真ん中にあるらしいです。

三越の「アンコールワット展」、人が多くて入り口付近ですでにぐったり。
(-ω-;平日なのになあ
三越カードをもっていれば無料なので、
買い物帰りに立ち寄る人が多いようです。
ビデオ画面の周りの人で先に進めなかったり、
迷路のような展示の仕方にも問題はあると思いますが、
展示品と観客数に対して展示スペースが狭すぎると思いました。
上智大学の現学長が内戦によって帰国を余儀なくされ、
戦後、ポル・ポト派により破壊された遺跡から発掘した仏像が中心の展示です。
今までカンボジアはあまり身近な国ではなく、
アンコール・ワットの遺跡にも興味を持ったことがなかったので、
何をどう見たらいいのかわかりませんが、日本のものと比べて
仏像が威圧的ではなくやさしい感じと思いました。
象の頭のガネーシャ、かわいいです。
仏陀がとぐろをまいた蛇を座布団のようにして座っているのが面白いです。
日本では見られない。
蛇神と戦うシヴァ神の砂岩のレリーフは、
水しぶきの表現が素晴らしかったです。
蛇が多いのは、日常に蛇が多いからでしょうか。
プノンペン国立博物館蔵、20世紀初頭のカンボジア版「ラーマーヤナ」
リアム・ケーの画がお話とともに10枚ほど展示してあり、
ゆっくりと観たかったけれど、
後からの人に押されて立ち止まっていられなくて・・。
リアム・ケーは絵本になっているとよかったと思いました。