ノイバラ山荘

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蛙の歌―-二宮冬鳥 ②

2010-03-01 12:12:52 | 短歌
なかなか進まない二宮冬鳥全歌集ですが(・ω・;A 
まず 『囊集』、『静黄』、『黄眠集』、
達人より後半がいいということを聞きおよび、
途中飛ばして最後『忘路集』、『忘路集以後』、ひとつ戻り、
歌数少ない『壺中詠草』を読んでいます。

この短歌新聞社の現代短歌全集にも収められた
『壺中詠草』については『忘路集』にこんな歌がありました。

・文藝春秋が珠玉の歌集といひくれし『壺中詠草』も売るることなし

恬淡とした自然の歌に交じっているので、
ふいを衝かれて笑ってしまいました。
なるほど珠玉は売れないもののようです。

岡部桂一郎はさくさくと順番に読めたような気がするのですが、
冬鳥はあちらこちらより切り込み、齧り、
巨大なステーキと格闘している感があります。

旧仮名遣いはまだいいのですが、旧漢字を使われているので、
余計難儀しているのかもしれません。
パソコンで打つとすぐに出てこない漢字があり、
どこまで旧漢字にすればいいのか、茫然とします。
交じるとみっともないので、固有名詞以外は新漢字にします。

蛙の歌を見つけました!


二宮冬鳥『黄眠集』より

・山の家に飼はるる猫のとりてくる蛙がときに畳に乾く

・庭の上の小さき水にくる蛙一つのことあり二つのことあり

・水盤をうめてつくれる池の上にきたり蛙のなげく夜あり

・この小さき水にすみゐる泥蛙昼は苺の葉にはひりゆく


『忘路集』より

・鳥のこゑ蛙のこゑと分かち得ぬ朝つづきゐて梅雨となるらし