ノイバラ山荘

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春の雪、有明の月、冬鳥読了――二宮冬鳥④

2010-03-10 21:54:14 | 短歌
昨日は雪が積もりました。

雨が昼頃から霙っぽくなり、どうかなあと思っていたら、
夕方には屋根に積もっていました。
夜には道路も真っ白。

読書と詠草作りのため家に籠っていたので、
困ることはありませんでしたが。

今日は朝イチで雪掻きしなくては・・起きてみると、
家のペンキ塗りに来ていた職人さんが、
駐車するためきれいに雪をどけてくれていて、
しかも昼にはお日さまが出て見る間に解けて、
雪掻きの必要はありませんでした。
なんだ、つまらない (-ω-) ←根性なしのくせに雪掻き好き

お手紙を書いて、切手を探してしたら、
坂上是則の歌の切手が出てきました。
あっ、これ冬の歌だけど、ちょうど昨夜は雪が白々と積んでいたし、
ちょうど有明月だったし、これにしよう。

・朝ぼらけ有明の月とみるまでに吉野の里に降れる白雪.
              坂上是則(古今集・冬・三三二)

この歌では実際にあるのは雪景色だけで、
有明月の光みたいだなあ・・というだけなんですが。
まあいいかっ(´・ω・`)

詠草のコピーをしに、近所のコンビニまで5分。
歩道の隅、花の上、あちこちに雪は残り、
雪解けの水が山田川を濁流となって下ってゆきます。
これであとは投函するだけ。


またまたまた二宮冬鳥で恐縮ですが(・ω・;A
やっと全歌集を読了しました!\(´;ω;`)/!

ほぼ3週間かかりました・・全部で何首読んだのでしょう
・・6000首くらいかな?
巨大なステーキを噛み千切り、咀嚼、嚥下した・・という感じです。

第6歌集『昨夢集』(昭49) 984首、冬鳥61歳。
第7歌集『西笑集』(昭56) 537首、68歳。

『昨夢集』はほぼ50代、『西笑集』はほぼ60代の歌です。
大きな出来事として、50代の冬鳥は妻を病で入院させ、
自らも狭心症で2ヶ月入院しています。
60代で片目の手術をし、老いを意識することが多くなります。

先の40代の『日本の髪』が海外詠、『南脣集』に旅行詠が多かった
のに比べると、国内の旅行、また庭の歌が多くなります。

敗戦の歌は両集に「敗れし夏」(昭39)「敗戦記」(昭50)として
納められており、ここで冬鳥が軍医として
長崎で被爆していたことを知ります。
実際の敗戦時昭和20年には、「夏日動顚」「秋悲歌」として
それぞれ数首あるだけですが、戦後20年、30年して
まとまった作が出てくるのです。

大きな出来事で、そののち繰り返し詠われるのは、
第1歌集『青嚢集』では長女草子ちゃんの誕生、敗戦。

第3歌集『黄眠集』は母の死、筑後川の洪水によって家を失い
久留米から大牟田へ居を移したこと。

内科医としての仕事と同時に結社「高嶺」の運営もあり、
多忙を極めた生活の中で家族を愛しみました。
古美術の蒐集、その深い造詣、日本各地での自然詠は
その歌に潤いを与えたのです。
厠や放屁、尿の歌も多く詠われているのですが、
お医者さんと思うと、不思議と不自然に感じません。

冬鳥さんが主人公の戦中、戦後そして平成の世に至るまでの
長編小説を読み終わった感じでした。

これから何度も読み返し、飲み込んだ肉の塊を
ゆっくりと消化しようと思います。


    二宮冬鳥③    
    二宮冬鳥②    
    二宮冬鳥①