明け方、雨の音で目覚めました。
しばらく聞いて、今日は等伯を観にいこうと決めました。
以前、等伯の「松林図屏風」はどこかで観たことがあって、
心に残っていました。
まだ体力に自信がなくて、どうしようかと迷っていたのですが、
静かな雨音の向こうに松の木々が立っているような気がしたのです。
知り合いの個展も2つ、6日までに観にいかねばならないのです。
以前だったらあたりまえの欲張りツアーもすこし不安です。
上野駅で先にチケットを買ったところ
「チケットdeサービス」というパンフレットが!
(´・ω・`) おお!
この国立博物館のチケットを見せると、JR上野駅隣接の「アトレ上野」で
割引やサービスが受けられるらしいのです。
上野にたどりついた時点でもう疲れているので、まず腹ごしらえだわ。
アトレ内の
イタリアンレストラン「リモネッロ」へ。
カジュアルで入りやすいお店です。
パスタランチ「鹿肉のボロネーゼ」(パン、サラダ、ドリンク付)
¥1200が5%引きになります。
パスタにはルッコラが練りこんであって珍しく、
鹿肉は独特のお味で、味付けもはっきりしていて、おいしかったです。
お腹いっぱいで、これで等伯がどんなに混雑していても大丈夫(笑)
*
長谷川等伯(1539―1610) 安土桃山時代の水墨、金碧画の絵師。
国立博物館平成館にて3/22まで。
「松林図屏風」(東京国立博物館蔵)、
「楓図壁貼付」「松に秋草図屏風」(京都・智積院蔵)
という国宝3点をはじめとして重要文化財が多数展示されています。
速水御舟に続いてあまり馴染みのない日本画ですが、
松林図は400年以上も昔の画なのに、
現代的に感じるのは何故なのでしょう。
能登七尾に生まれ信春の名で仏画を描いていた等伯は、
30代で京都に上り、画の研鑽を経て(狩野派で金碧画を学んだ?)
50代から有力な寺院などの大きな仕事で名を成しました。
50代半ばで後継の息子を亡くし、この頃、
松林図を描いたのではないかといわれています。
国宝3点、水墨画の松林と金碧画はずいぶん印象が違いますが、
いずれも円熟期50代に描かれているそうです。
61歳で息子の死を悼んだ「仏涅槃図」を描いています。
72歳江戸に上る途中病を得て到着後二日で死亡。
制作年のわかっているものもあれば、
国宝になっているのに制作年の不明な松林図もあり、
消失しているものもあり、長谷川派は息子の死で途絶えてしまった
らしいのですが、400年経ると不明な点も多くなるのでしょうか。
第一会場で一番気に入ったのは、六曲一双「萩芒図屏風」。
国宝・重要文化財目白押しのこの展覧会で、
この屏風は何でもないのですが、観ているうちに涙が出てきました。
右隻は白萩、左隻に芒と野菊が描かれています。
他の絵と同様、金地は輝きを失い、風に吹かれる萩と芒と野菊は
絵の具の色も褪せています。
力で押してくる構図ではないだけに引き込まれ
「私はここにいた」という感じがするのです。
松林図と似ているのかもしれません。
まるで絵の中を歩いているような、昔、その中にいたような感じがする。
絢爛豪華な金碧画「楓図壁貼付」「松に秋草図屏風」
では感じなかったことです。
第二会場の水墨画が圧巻で、大徳寺所蔵の牧谿(もっけい)の水墨画を
50代で研究してからの大胆かつデリケートな表現は「松林図屏風」に
つながるものがあります。
色彩はもともと仏画で高価な絵具をもふんだんに使い
得意とするところであったのでしょうが、
水墨の濃淡の世界もその色彩感覚が生かされていたのでは
という指摘をどこかで読みましたが、なるほどと思います。
何故、松林図を現代的に感じるのか?
その問いの答えは見つかりませんでしたが、
等伯というひとつの人生に出会うことができました。
50代を晩年といっていいのかわかりませんが、
晩年に開花したこのひとつの人生に勇気付けられました。
*
平成館から本館を見学し、屋外に出ると庭に河津桜や梅が。
梅に惹かれて歩くうちに「法隆寺宝物館」に行き当たり、
さらに「表慶館」(アジアギャラリー)を見学。
平成館の特別展を観ると、同時に
国立博物館の他の3館も見学できるのです。
いままでは時間がなくて見たことがありませんでしたが、
初めてゆっくりと(しかし駆け足で(笑))回りました。
法隆寺宝物館は空いていて、しかも見ごたえ十分。
1階の薄暗い中、小さな仏像がひたすら並べてあり迫力です、
ほかにも重文があたりまえのように展示されていて、驚愕。
アジアギャラリーも朝鮮、東南アジアから中近東まで
すばらしい展示品だし、クラシックな建物が素晴らしい(人-ω-)。O.゜。*・★
先日、日本橋三越で観たアンコールワット遺跡の石像と似たものがあり、
解説を読んであのときの疑問が氷解したのでした。
釈迦が蛇の座布団に座っている?と思ったのは、
ボードガヤーで悟りを開いた釈迦の頭上に、
竜王ムチリンダが頭部を広げ、風雨から守っている像なのでした。
胴体は巻かれ、釈迦がその上に座っています。
*
博物館を出て、
国際子供図書館を見学。
特別展は「日本発☆子どもの本、海を渡る」。
ここも明治期に建てられた帝国図書館を
保護するような形で改築されていて、
階段の手すり、バルコニーなど、古くてうっとり・・。
*
いつまでもうっとりしていたいけれど、ここから銀座へ移動します。
銀座6丁目。
GALERIE SOL
上根拓馬展[BAVEL's / バベル]3/1~6
現代美術立体造形作家。
職場の同僚です。
みゆき画廊 中村章子展 3/1~6
綺麗な色彩のファンタジックな絵画。油彩と水彩。
私が大学の時にお習いした近所にお住まいの先生です。
何とか今日の予定をクリアです。
ああ、盛り沢山でした・・。