ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

お歳暮戦線に思うこと

2012-12-04 12:07:00 | 経済・金融・税制

待ち望んだ衆議院選挙であるが、なにもこの時期にやらなくても・・・との嘆きがあることは、あまり知られていない。

デパートなどの小売業界にいた人なら分かると思うが、このお歳暮戦線の真っただ中に選挙が行われると、お歳暮の売り上げは大幅に下がる。

なぜかというと、適用が厳密化された公職選挙法があるからだ。これは選挙における贈収賄を禁じた法律なのだが、厳密に適用されると常識的な範囲内でのお中元、お歳暮等の慣行までもが違反事項とされてしまう。

そのため、選挙がなければ普通に行われるお歳暮の贈答が、事実上出来なくなってしまう。

だからこそ、デパートや小売店などからは、冒頭のような恨み節が出てしまう。私が小耳に挟んだ話だと、年末商戦は予想の5~8%減となるようで、経営者ならずともぼやきたくなるのも無理はない。

つくづく思うのだが、この三年余の民主党政権は景気浮揚に興味がなかった。もっといえば、国民の暮らしを良くすることに間違ったアプローチをしていた。子供手当にはじまり、高校学費の無償化など金をばら撒くことにのみ傾倒した。

以前の自民党政権にだってばら撒きはあったが、少なくとも労働等の対価としてのばら撒きであり、補助であった。如何に罵られようと公共事業には労働者への支払いが必然的に生じた。公共事業には多量の鉄骨、コンクリートなどの建材が必要であり、産業界を大いに潤した。

小泉・竹中は、公共事業を大幅に削ったが、本来削るべきは中間搾取であった。防災対策や、施設の維持管理は国家がやるべき必要な支出であり、これにより土木国家である日本は回っていた。

それなのに、政府は一番弱いところ(労働者、下請け零細業者)から削ってしまい、結果低所得者を激増させてしまった。あげくに次期政権であった民主党は、税金を安直にばら撒くことで民意を得ようとした。

結果、何が起こったか。

いくら働いても財布は太らぬと知った庶民は、働くよりもたかることに逃げた。生活保護世帯の増加がなによりも雄弁にその結果を物語っているではないか。

真面目に働いても夢は適わぬと知った若者は、真摯に働くことを捨て、弱い者(高齢者)を騙すことで大金を稼ぐことを目指した。「オレオレ詐欺」の横行は、若者から夢を奪った政府が生み出したと私は考えている。

この三年余り、民主党は民意から背き続けた。国民が何を望み、何を欲し、何に苦しんでいるかの事実から目を背け続けた。

今回の突発的な選挙だって、維新の会に代表される第三勢力に十分な時間を与えないために急いだと云えなくもない。実際、準備不足から立候補を取りやめた人はかなりの数に上る。この手の姑息なやり口だけが上手かったのが、民主党政権の特徴だと云えばそうなのかもしれない。

景気を良くするとは、庶民が安心して金を使える環境を整えることだ。そのためにはお金が市中を出回り、買い物が増えて、仕事も増えることが大切だ。その邪魔をしているのが白川・日銀であり、何もしない事すなわち現状維持が正しい政策だと思い込んでいる霞が関のエリート様である。

この現状を変えることが出来るのは政治だけだ。

ところが、その政治家どもときたら自らの主張を叫ぶだけで、市井の声を汲み上げることをしない。いや、逃げているといっても過言ではあるまい。私は今回の選挙で、今よりマシになることを切望しているが、白状するとかなり不安にも思っている。

株式市場は、選挙があるというだけで上昇したが、期待が失望に変わった時の反動を警戒すべきだと思う。私には、次期政権の中核たる自民党にも公明党にも、庶民の声は届いていないように思えてなりません。まァ、民主党は論外ですけどね。

コメント
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