やっぱり日本のマスコミはおかしいと思う。
日本政府が抱える借金は、国と地方合わせて1000兆円を超える。だから消費税の増税が必要だ。TVも新聞も、皆同様に報道する。まるで財務省の広報機関のように思えてならない。
複式簿記の知識がある方なら分かると思うが、借金(貸方)がある以上、必ず相手勘定となる資産(借方)があったはず。その資産は現在どうなっている。すなわち資産の時価評価なくして、ただ一方的に負債勘定(借金)だけを取り上げるのは、会計的におかしい。
土地の評価はともかく、日本政府は莫大な外国公債(大半はアメリカ国債)を保有しているはず。この資産の時価評価なくして、反対科目の負債だけを取り上げるなんて、あまりに幼稚すぎる。
経済専門紙である日経を筆頭に、どこのマスコミでも大学などで経済学を学んだ記者が相当数いるはずだ。それなのに、何故このような偏った記事を垂れ流すのか。
意地悪な私は、ついつい日本のマスコミは財務省の意向に従い情報操作に加担しているのではないかと邪推せざるを得ない。
表題の書は、外資系の投資銀行で国際金融の最前線で働いてきた金融マンの山口氏が、自らのブログ、有料メルマガ等で書いてきたことを抜粋して刊行したものです。アメリカ、ヨーロッパ、中国の金融の世界で、山口氏が自らの実体験から感じた日本経済の姿について、それがあまりに日本のマスコミ報道とかけ離れていることへの疑問と反発から書き記したもの。
国際投資銀行の世界で働く人らしく、その観察眼は経済面に限られるが、それだけに説得力がある。分かりやすく書いたが故に、専門的知識のある人にはいささか物足りなさも残るが、あの複雑怪奇な国際金融の世界を分かりやすく書く力量には感服。
私の従来の考えと一致する部分もあるが、どうしても経済それも金融の分野に立脚しての意見なので、政治や軍事、歴史に関する切り込みが浅い。もっとも、それを補って余りあるのが国際金融の最前線で仕事をしてきた実体験からくる知恵だろう。
経済の素人でも分かりやすく書かれているので、既存のマスメディアの経済報道に疑問をお持ちの方にはお薦めです。ただし、その内容を盲信することはお薦めしません。自分で判断すること、これこそが投資における大原則。それが分かった上でなら読む価値ありだと思います。