ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

日本家電メーカーの失墜

2012-12-07 12:43:00 | 経済・金融・税制
SONY、パナソニック、シャープと日本が誇る家電メーカーが軒並み、大幅な赤字に苦しんでいる。

サムソンやLGといった韓国メーカーに加えて、ハイアールなどの中国メーカーから激しく追い立てられ、遂にはトップの座から陥落して久しい。

たしかに一ドル80円以下の円高は、輸出で稼ぐ企業にとって厳しかったのは当然だと思う。また円高を背景に海外から安く製品を仕入れられたがゆえに、二重苦の状況にあったことも事実だ。

しかし、私は率直に言って自業自得だと考えている。

なぜなら、私が欲しいと思う家電製品を作っていないからだ。

我が家には、古い家電製品が溢れている。良いものを長く使いたい、それが我が家の長年の習慣であった。一番古いというか、長く使っているのはガス炊飯器だが、これは30年以上の古参兵だ。ガスホースを交換する以外、まったく手間のかからない頑丈なやつだ。

実家では電気炊飯器に替わって久しいが、今は亡き母は時々ご飯を固く炊いてしまったり、柔らか過ぎたりと失敗していた。これは家電製品を使いこなせなかった母の責任でもあるが、老齢の母が使いこなせないような多機能で高性能な製品にも責任があると私は考えていた。

家電売り場の大半を占める日本メーカーの製品は、どれも様々な機能を付加された高付加価値なものばかり。やれ、スマートライフだ、IT化だと喧しいが、はっきり言います。

消費者の大半は、そんなもの欲しがっていません。

一部の若い人や、新しもの好きの中高年の方たちならば、買った当初は喜んでその高性能な多機能を楽しむでしょう。でもね、生活家電というやつは、基本が大事。時間がたてばたつほど、それらの高性能な機能は使わなくなる。

冷蔵庫は冷えればいいのだし、TVは観れればいい。電子レンジは温めてくれればいいのだし、クーラーは夏は涼しく冬は暖かければそれで十分。生活家電は、手間がかからなければ、かからないだけ使いやすい。

その点、サムソンやLG、ハイアールの製品は使いやすい。日本メーカーのような高性能な多機能性は持ち合わせていない。そのかわり、マニュアルを読まなくても、すぐに使える。だからこそ売れる。

決して安いだけが魅力じゃない。使いやすいことが何より大切。だから多機能性に使いこなせないと不安を持つ中高年は買っていく。分厚いマニュアルを読むのが面唐セと思う若者だって買っていく。

売り場に残るは、高性能で多機能な日本製ばかり。しかも案外と故障が多く、修理費は論外に高いため、結局買い替えざるを得ない。消費者の家電メーカーへの不満は募るばかりだ。

もちろん多機能、高性能を使いこなす日本人ユーザーだっている。いるけど少数だ。だから結果的に大量に売れ残る。日本の家電メーカーは、この一部のマニアックともいえる優秀なユーザーばかりみていて、多数派のユーザーを無視した。

技術者の自己満足、高性能という言葉に踊った経営者の虚栄心が、家電メーカーを腐食させた。だからこその大幅赤字であり、経営危機である。円高は本当の理由ではないことを知るべきだと私は思います。
コメント (4)
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