ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

デフレ脱却の日

2012-12-26 12:08:00 | 経済・金融・税制

最近、ある方からの紹介を受けて幾つかのNPOの主催するパーティーなどに参加することが多い。

はっきり言えば、資金集めのためのパーティーなので、会費の割に提供される食事はお粗末だ。でも、その差益が恵まれぬ子供たちへの学費支援に使われたり、被災者支援の物資になるのならば仕方ないと諦めている。

実際、ある船上パーティーでは提供されたのは、紙パックのジュース一個。でも、パーティー主催の趣旨は親のいない子供たちへの学費支援だと思えば、笑顔で我慢できる。これは某キリスト教団体の関連事業であるようだが、大使館や銀行の支援もあるようで、参加者にも外国人が少なくない。

先だって、その在日の外国人らを招待しての温泉スパでの忘年会にも参加してきた。一応書いておくと、税理士業務とは直接の関係がないので、守秘義務には反しないと思う。

男性の外国人4名ほどを私が案内したのだが、皆片言の日本語は喋れるので助かった。なにせアメリカ、イタリア、トルコとてんでバラバラなので、内心けっこう不安だったのだが、思ったより上手く出来た。

幸い、4人とも温泉ホテルなどへは行ったことがあるようなので、マナー的には問題ない。ここは関東でも指折りの大型スパであり、屋内屋外プールもあるのでたいへん気に入ってもらえた。

なかでも広い露天風呂は気に入ったようで、4人ともなかなか出てこない。面白かったのは、四人ともタオルで局部を隠さないと風呂に入れないようで、誰一人すっぽんぽんにはなれなかった。一番筋骨隆々の黒人男性が最もシャイで、周囲を気にしながら入浴していたのが可笑しかった。一方、巨漢というより太り過ぎの白人男性が一番、くつろいでいたようで、タオルで隠すのも時々忘れて同僚に注意されていた。

片言の日本語と、英語交じりで話したのだが、一番興味深かったのは彼らが日本で仕事をしている理由の一つに円高があったことだ。母国の通貨が安すぎるので、日本円を主たる通貨として使っているうちに日本で仕事をするようになった人たちらしい。

彼らは今回の選挙で円が下がる、つまりドルやユーロが上がることに関心が強いようで、露天風呂で国際通貨論議が始まってしまった。議論が過熱すると英語に切り替わるので、私は半分くらいしか分からなかった。だが、なんとなく彼らが当分、円が強い状態が続くと考えているが、いつかは必ず下がるはずだと考えていることが感じ取れた。

一人はいささかホームシック気味で、早く故国に帰りたいようだが、帰っても仕事がないので、日本で当面働く(マネージャークラスだと思う)つもりであるらしい。稼いだ金をいつ円からユーロに変えるか、そのタイミングに悩んでいるらしい。

日帰り旅行であったのだが、その帰り際一人から「日本人はもっと自国の経済に自信を持つべきです。そして稼いだお金を世界にうまく投資することを覚えるべきでしょう」と忠言された。

ちょっと顔をしかめざるを得ない。彼らは日本の経済が強いからこそ、この日本で仕事をしている。強い通貨を駆使できることの強みを良く知っているのだろう。だからこそ投資下手の日本に困惑するのだろうと思う。

貯蓄から投資へ、と大蔵省が提唱したのは十年以上昔だが、外国人からみるとまだまだ投資は十分ではないように見えるようだ。現在の日本に不況感が強いのは、お金が世間を回っていないからだ。つまりデフレ不況である。

果たして、安倍新政権はデフレ不況からの脱却が出来るのであろうか。

期待はするつもりだが、私は難しいと思っている。少なくても日本政府が主体的に動いてのデフレ脱却は、まず無理だと思っている。短期国債の日銀買い取りは、今までもやってきたし、これでデフレ脱却は難しい。

そうなると、建設国債のような長期債券の日銀買い取りが現実味を帯びてくる。しかし、これが禁じ手なのは、それ相応の理由がある。やるなら期間限定とかの一定の制約を付けないといけない。それゆえ国内からの批判と抵抗が大きいことが予想される。

そう考えると、まだデフレ脱却は遠いと言わざる得ない。

私は二つの可能性を考えている。一つはアメリカ・ドルの大幅な切り下げだ。いわゆるデノミという奴だ。これはけっこう現実味があるとみている。円はドルとの連動性が強いので、間違いなく円相場は大混乱に陥り、日銀が切望するデフレ維持は不可能となる。

もう一つは、資産インフレ、すなわち石油の枯渇にともなう原油価格の大幅な上昇だ。化石燃料を輸入に頼る日本にとって、原油、天然ガスなどの値上げこそがインフレのもっとも切実な原因となりうる。それは破滅的である可能性も秘めているだけに、恐ろしいと考えるべきなのだ。

ちなみに可能性は低いが第三の可能性は世界規模の戦争であり、第四の可能性は石油に替わる代替エネルギーの開発と実用化による経済発展という夢物語。

いずれにせよ、デフレ脱却は非常に難しい。だから、一番現実的なのはデフレ下で幸せな生活をつかむこと。いわゆる年収300万円で幸せな生活が送れることだ。

たしかに正論だと思うけど、私はちょっと嫌。だから困難と知りつつも、新政権にデフレ脱却を期待してしまいます。

コメント (2)
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