ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

HUNTER×HUNTER31巻 冨樫義博

2012-12-13 12:39:00 | 

プロフェッショナルの仕事とは、信頼の証しであるべきだ。

仕事に期日があるのなら、その期日はなにがなんでも守らねばならない。それがプロの仕事だ。

毎週発売される週刊誌に漫画を連載することは、プロの漫画家にとって過酷な仕事であることは間違いない。だが、それをやってのけるのがプロの証しだろう。私はそう信じている。

ところがだ、そのプロの風上にも置けない輩がいる。

その代表格というのが、表題の作品の著者である冨樫義博だ。TVアニメにもなった「幽々白書」の大ヒットで知られる漫画家であるが、現在は一年のうち多くても7週間くらいしか連載しない、とんでもないプロ作家である。

本来なら表舞台から消されてもおかしくないと思うのだが、江戸時代の相撲取りよりも働かない漫画家は今ものうのうと漫画を描き続けている。

何故か?

面白いからである、続きが読みたいからでもある。だから単行本が出るたびに、ベストセラーランキングの上位に並んでしまう。

つまり私も含めて、それだけ期待している読者が多数いることを意味している。実に悔しいではないか。

しかも今回発刊された31巻では、主人公は一切登場しない。その代りにその親友キルアが大活躍である。不気味に可愛い妹のために獅子奮迅の大活躍である。さらに久々登場のレオリオが主人公の親父に一発喰らわす場面は拍手喝采もの。

待っていたんだ、こんな面白い話を!悔しいことに続きが早く読みたくて仕方がない。

嬉しいことに、今月28日には32巻が発売予定なのだ。買わずにいられるか。

ところが肝心の本編は、未だ雑誌に連載再開の兆しはない。

実にふざけた漫画家である。レオリオではないが、顎に一発パンチ喰らわせたいぐらい憎たらしい。でも早く続きが読みたいのも事実。

何故か?

まず、ストーリーが面白いだけでなく、良くも悪くも読者の予想を裏切る。前巻までの敵役であるキメラアントの王に、あのような美しくも哀しい結末を用意するなんて、いったい誰が予想しえたのだろうか。

そして絵が上手い。特に表情が上手い。今回も妹に対して無類の優しさを示すキルアの、かすかに柔らかい表情なんて絶品であった。対する兄イルミの異常さや、これまた久々登場して狂気の殺戮をみせるヒソカの表情なんて、ファンならば読み込まずにはいられない完成度。

この話の続きが読みたい。私をここまで悩ませるプロ失格の漫画家は、冨樫義博一人である。まったくもって、困ったもんだ。

コメント
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