ヌマンタの書斎

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サウジアラビア人ジャーナリストの謀殺

2018-11-06 11:38:00 | 社会・政治・一般

なんとも不可解な事件である。先月くらいからだが、トルコ国内のサウジアラビア領事館内でのサウジアラビア人ジャーナリストであるジャマル・カショギ氏の死亡報道が欧米でトップニュースとなって久しい。

鈍感な日本のマスコミも後追い報道を始めているが、当初から妙な事件だと思っていた。おそらく謀殺されたと思われるサウジ人ジャーナリストだが、この人はムスリム同胞団の熱烈な支持者であり、欧米的な民主主義の価値観の持ち主ではない。

またオサマ・ビン・ラディンを崇拝していたことでも知られている。その彼がなぜにサウジの皇太子と揉めていたのか、それすらも未だ明白ではない。単なる報道の自由への敵対行為といった視点では報じられるべきではない事件である。

現在のところ、トルコ政府主導で情報が公開されている。もちろん、トルコ国内で起きた事件なのだから、当然ではある。でも、情勢の推移を見ていると、どうも政治的に利用している感が強い。

おそらくは、サウジの皇太子主導の謀殺だろうが、それを当人が認める訳もなく、うむやむな結果が目に見えている。

アメリカと対立気味のトルコが、この件でアメリカの歓心を買おうとしている臭いが濃厚である。今も続くカタール断交を強行するサウジの包囲網に、トルコが穴を穿つ可能性もある。

このような事件は、真相が明らかになることは稀で、水面下で妥協案が錯綜しているのだろう。いささか不謹慎な予想だが、この事件をネタに、小説か書かれるか、映画が作成されるのではないかと思っている。

私が20世紀の謎として問題視していることの一つに、自由と民主主義の国アメリカと、石油と一族による独裁国家サウジアラビアの蜜月関係がある。アメリカという国は、キリスト教原理主義の国でもあるからして、正統派(スンニ派)ながら異端の少数派でもあるイスラム教ワッハーブ派により支配されるサウジをアメリカが容認していること自体が謎である。

しかも中東にはユダヤ教原理主義の国イスラエルがあり、アメリカがその後見をしていることは明らかである。イスラエルとイスラム教を信奉する国々が互いに認め合う可能性は低く、本来サウジはその尖兵であってもおかしくない。しかし、イスラエルがサウジを攻撃することは稀で、サウジが先陣きってイスラエルに侵攻したこともない。

そしてアメリカは、サウジ、イスラエル両国に対して親密な関係を続けている。呆れたことに、21世紀になっても、この蜜月関係は続いており、今回も当初はトランプ大統領がサウジを擁護するかのような発言をしている始末である。いくらサウジがアメリカ製兵器の最大顧客だとしても、トランプの日頃の言動からしても不可解であった。

おそらく、その秘密はアメリカの覇権が続く限り、公開されることはないだろう。

私が知る範囲で、アメリカの政治学者、歴史学者、そしてジャーナリストがこの不思議な関係に切り込んだことはない。不思議なくらいにない。いや、アメリカだけではなく、ヨーロッパにもアジアにもいない。

むしろ、このことのほうが不思議で仕方がない。何故でしょかねぇ~

コメント (4)
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