ヌマンタの書斎

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押し寄せる難民

2018-11-28 12:00:00 | 社会・政治・一般

私は適切な解答を持ち合わせていない。

そんな無力感に悩まされるニュースが、現在中南米からアメリカへの入国を目指して行進している難民たちである。

主にエルサルバドルの人たちが中心であるようだが、この国は本来、決して貧しい国ではなかった。だが内戦が続き、終結後も土地の大半を握る支配階級だけが栄え、多数の国民は貧困の辛苦に喘いだ。

だからこそ、この国の人々は以前から国外で仕事をして、家族を助ける生活をしていた。このこと自体は、他の国でもよくあることである。大概は陸路をバスで北上してアメリカを目指す。

そこへ登場したアメリカのトランプ大統領が、不法移民を排除することを声たかだかに宣言したものだから、慌てたエルサルバドルの人たちは、突如として徒歩でアメリカを目指しだしたと言う。

エルサルバドルの人たちだけで2000人だというが、おそらくバスや車などを利用している人も含めれば、その数倍になることは容易に想像できる。

彼らが故国で貧困に喘いでいたことは確かだと思うけど、CNNのニュースで見た映像を見てしまうと、難民に対する同情よりも、アメリカ側の困惑のほうが理解できてしまう。

報道などをみていると、難民を受け入れようとしないアメリカの姿勢を批難する傾向が強い様に感じる。ただ、CNNでもABCでも、難民受け入れに否定的なアメリカ市民の声も報じている。

BBCなどが人道的見地からの受け入れを慫慂している意見を述べているが、正直言って他人事の私でさえ首を傾げざるを得ない。先進国は、途上国からの難民受け入れ先ではない。問題は難民を発生させている途上国、今回はエルサルバドルにこそあるはずだ。

南米やアフリカからの難民の多くは、経済的に困窮しての出国であり、それは家族の生活を賭けた命がけのものであることは分かる。だが、同じ命を賭けるならば、母国の政治を変えることが本筋ではないかとの疑問が頭を離れない。

中米の国々は、冷戦下にあって米ソの間接的な勢力争いの場であり、左翼ゲリラが内戦を起こし、アメリカの支援を受けた政府がゲリラ弾圧の過程で無辜の市民を虐げたことも確かだ。

また冷戦後も、グローバリズムの名の下に、国際資本の利益簒奪の狩場となったことも知っている。強者の都合により、国内をバラバラにされた無力感から、母国への信頼を失い、強国にすがり付こうとする心理も分からなくもない。

それでもだ、TV画面に映される数千人の難民の姿を見ると、同情心だけでなく、こりゃアメリカも大変だとの思いも拭いきれない。アメリカ政府というかトランプ政権批判のネタにされている観もあって、どうも報道のスタンスを疑わざるを得ない。

本当に批難されるべきは、これらの難民を生み出した母国の政治ではないのか。そこを見て見ぬ振りして、トランプ批判につなげる報道を見ると、日本のマスコミ同様に、欧米も決して安易に報道を信じるべきだはないと思います。

コメント (3)
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