ヌマンタの書斎

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覚悟なき報道

2018-11-08 16:05:00 | 社会・政治・一般

ジャーナリストは神聖不可侵なのか?

3年余、シリアにて人質生活を送っていた安田純平が無事帰国した。無事に帰国したことはともかく、私はこの方の言動はおかしいと思っている。報道を志す以上、自己責任で危険な地域へ取材するのは自由だと思う。

しかし、いくらフリーとはいえ、なにか事件に巻き込まれれば、日本政府は動かざるを得ない。今回だって、外務省や大使館が裏で相当動いているはずだ。それなのに、「日本政府には助けて欲しくなかった」などと言っているところを見ると、相当に頭が悪い。

本人はフリージャーナリストだと言っているが、私から見ると、武装組織に資金援助をしている人質屋さんである。しかも、相当に恵まれた人質生活であったようで、かつてフィリピンで人質生活を送った若王子氏などと比べると、情けないほど綺麗な姿での帰国である。

PTSD? 3年も拘束されていれば、当然にあるでしょうけど、それこそ自己責任。しっかり治療すれば良いだけ。

私が今回の件で不可解に思っているのは、マスコミの対応である。

どうも、世間一般では極めて評判の悪い安田氏への過保護が目立つ。危険地帯に赴いた英雄として扱えなどと、浮世離れした言を弄するTVキャスターが居たのには失笑してしまった。

自衛隊が危険地帯でのPKO任務を果たした時とは、えらい違いである。どうも自衛隊はダメで、ジャーナリストなら良いらしい。ちなみにザイールやソマリアでは、自衛隊に対する地元の評価が高かったことは、積極的に報じる気がないようだ。

一方、武装組織に身代金と云う名の軍資金を提供した役割を果たした安田氏のことは、批難することも、否定的に評価することも良くないらしい。

これは、今回の事件に限らないが、マスコミ様は日頃、日本政府を批判するのはお好きだが、自らが批難される対場になるのは大嫌いであられる。常日頃、偉そうにご高説を垂れるのに慣れ過ぎて、自らの過ちを批判されるのも大の苦手でいらっしゃる。

私は安田氏が政府の言う事を聞かずに、危険地帯へ行ったことは非難しない。それが本来のジャーナリズムであろうと思うからだ。でも、そこで人質となり、3年余りも監禁されたことを気の毒には思っても、それを偉業だとは思わない。

ジャーナリストだというのならば、彼ら武装組織の事を堂々報じてみろ。3年も一緒に居たのだから、彼らの情報くらいあるだろう。それを報じることこそ本来の仕事であろう。人質になって武装組織に資金を提供するような愚を、他の人が犯さないように、その自らの失敗を報じてみろ。

帰国の途上、偉そうに日本政府を非難する暇があるのなら、人質になった失策を恥じて、その失敗を公表して人々の役に立つ情報を出してみろ。

他者を批難するのが報道の仕事だと思っているのならば、他者から批難されることも受け入れろ。その覚悟がないようなら、ジャーナリストを名乗るな。

安田氏を擁護しようと必死なマスコミは、なぜに世間が彼を批難するのかを真摯に受け止めてみろ。

私は多数派が正しいとは思っていないけれど、少数派が少数派であることには必ず理由があると思っている。その理由から逃げ回ってきたのが、日本のマスコミ様だとも思っています。それを今回の件で確認できたことだけが、収穫かな。

コメント (4)
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