ヌマンタの書斎

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組立から輸入へ

2018-12-17 12:49:00 | 社会・政治・一般

どうやら政府は、次期主力戦闘機であるF35Aを、国内でのライセンス生産ではなく、アメリカからの輸入に切り替えたようだ。

これは本来、戦後の防衛計画の大きな方針変更なので、まともな国ならば国会での大論戦が交わされるはずである。しかし、平和ボケが横行している我が国では事情が違う。

民主主義国家においては、国家は国民からの税金により運営される。だから、当然にその軍事支出に関しても、国民の代表たる国会議員の間で討議されるのが、普通の近代国家である。

しかし、憲法9条様を崇めていれば平和は叶うと盲信している善良な平和愛好市民様に余計な心配はかけまいとして、政府はこのような防衛論議は役所の奥で、ひそひそと打合せ、与党の内諾を得て国会をさり気なく通過させる。

新聞やTVなどのマスコミ様も、その辺の事情はよく分かっていらっしゃる。だから、軍事知識の欠落した市民の興味を惹かないように、さり気なく、そっけなく紙面の片隅に掲載して、お義理を果たすのが作法である。

でも、私のようなヒネクレ者は、そんなお作法なんて知っちゃこったない。だから堂々と書いてしまうぞ。

まず基本から。

海に囲まれた日本列島を防衛するには、制空権を確保することが重要となる。だからこそ、戦後一貫して世界でも第一線で通用する戦闘機を配備してきた。(まァ、本音は日本列島にある米軍基地を守るためではあるけどさ)

しかし、主力となる武器を輸入に頼ることは、本来好ましいことではない。だが、アメリカに守ってもらっている以上、好き勝手は出来ない。だからこそ、アメリカの戦闘機を採用する代わりに、その機体を国内で組み立てる(ライセンス生産)ことで、国内の防衛産業を育成することを目指してきた。

単にお金の面だけ考えれば、単純に戦闘機を直接アメリカから購入したほうが安く済む。しかし、国内の防衛産業を育てるためには、どうしても製造の一部を国内で担う必要がある。

ある意味、苦肉の決断ではあるが、アメリカの軍事的従属下にある日本の立場からすると、これが精一杯であった。率直にいって、金銭的な負担を考えれば、輸入の方が安い。

しかし、武器は可能な限り国産できるようにしておくといった防衛の基本原則を捨て去らなかったことが、国内産業の育成保護にもつながっていることも確かだ。

その観点からすれば、次期主力戦闘機であるF35Aを輸入することは、これまでの防衛方針の転換とも云えるものだ。反対意見も多かろうと思う。だが、このF35を国内でライセンス生産することに固執することはないと、私は考えています。

まず国内で組み立てれば、一機当たり150億と云われてますが、直接輸入すれば数十億円程度であり、大幅に安くなる。またF35が高額なのは、機体そのものの価格よりも電子兵装が高額だからです。つまり組立そのものは、たいして高くない。

それどころか、現在の日本では、既にF2戦闘機を国内で製造しており、今さら戦闘機をライセンス生産(要は組立)する意義は低くなっている。国内で組み立てれば高額なF35を輸入して安く済ませる。その余った予算で、F2の後継機であるF3の開発予算に充当すれば良い。

おそらく防衛省では、そのような考えで従来の方針を変更したのだと考えられるのです。もっともF3の開発には、既にアメリカのメーカーが共同開発を打診してきています。

理想は国内での開発、製造なのですが、アメリカはそれを許さないでしょう。そうなるとF2同様に、アメリカとの共同開発になるであとうと私は予測しています。

忸怩たる気持ちがない訳ではないのですが、航空戦の要である電子機器、とりわけ敵味方識別装置は、どのみちアメリカ製のブラックボックスです。またアメリカが保有する世界最先端の技術である統合情報作戦システムにアクセスするためには、ある程度の共同化は避けられないはず。

日本がアメリカと軍事的に共同歩調を取る国防戦略を採用している以上、まだまだ当分は独自の戦闘機開発は難しいと痛感せざる得ませんね。

しかし、まァ、これほど重要な国防戦略の変更(国内組み立て放棄)を国会で議論しない国って、日本くらいじゃないでしょうかねぇ。

コメント
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