ヌマンタの書斎

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人買い優遇

2018-12-19 11:58:00 | 社会・政治・一般

今国会で問題になっている入国管理法の改正であるが、野党が中身がスカスカの法案だと批難しているが、まさにその通りである。確信犯的に、中身は大枠だけで、詳細が決まっていない法案である。

これは、入管事務所というか、法務省の確信的行為である。要するに大枠だけで法案を作り、細かいところは国会を通さず、役所内の施行規則などでやり繰りするための手法である。

以前にも何度か書いたが、私は安易な外国人労働者の採用には否定的だ。だが、もはや外国人労働力を使わねば、日本社会の至る所で労働力不足が生じてしまっているのが現実である。

生活習慣、思考、嗜好、宗教などが異なる人々の集団が、日本社会に入り込んで来るのだから、問題が発生するのが当然。実際、日本全国で、この既に労働力として不可欠な外国人たちと、日本社会との軋轢は生じている。

町役場、学校、清掃、病院、自治会など至る所で問題は発生し、現場の人たちは対応に苦慮している。だからこそ、日本政府は大枠を定め、今後の指針を明確にするべきなのだ。

改めて書くが、役所というものは法令に定められてた業務を遂行するがゆえに、法令に定められていない事態への対応力が低い。下手すると、過去の実績、慣行に固執して、現実的な対応が出来ないことが少なくない。

これは行政の基本的な姿勢であるのだから、政治(立法)が新しい事態に対応できるように法令を手直しする必要がある。それが今回の入管法改正であるべきなのだ。

しかし、ここで問題がある。入管に限らないが、役所というものは、自分たちが正しいとの立場で動く。自分たちが対応できない事態があっても、できるはずとの思い込みで動いてしまう。

具体的に書くと、外国人が日本で働くためには、日本の役所(入管)が満足する書類を正しく記入する必要がある。しかし、日本人でも役所に提出する書類の記入には苦労する。まして外国人には不可能に近い。

そこで活躍するのが仲介者である。ぶっちゃけブローカーである。彼らは日本の役所が満足する書類を作るが故に、役人は彼らを好む。なにせ、ブローカーの中には元・役所勤めの経験者がいることが多いのだから当然である。

だが、このブローカーたちが暴利を貪る。多少の変動はあると思うが、今も昔も外国人が日本に渡航して働くため、ブローカーへ支払う金額は最低でも100万円を超えるのが相場であるようだ。

この高額すぎる渡航費用が悲劇の温床となっている。このことは、90年代にはもう既に社会問題化していたはずだ。しかし、未だに満足のいく解決は図られていない。

原因の一つは、法務省にとってこの暴利を貪るブローカーたちが便利であるからだ。彼らブローカーは日本の役人が満足する書類を提出してくれる。書類さえ整備してあれば、満足してしまうのが日本の役所の性分である。

つまり書類さえよければ、中身は気にしない。だから外国人研修生たちが安い賃金でこき使われようと、過酷な労働環境に置かれようと、法務省には重要な問題ではない。書類こそが全てであるのが役所である。

日本という国は、先進国のみならず世界的にみても貧富の差が少なく、働く機会の多い国である。しかしながら、高齢化層の増加と、出生数の減少からもはや必要な労働力を国内で満たせない国になっている。

だからこそ、海外から良質な労働力を必要としている。しかし、ブローカーが横行して中間搾取をすることが横行しているため、せっかく来日してきた外国の若者たちが経済的苦境に陥る羽目に陥っている。

安すぎる賃金に苦しむ彼ら外国人労働者は、生きていくために予め定められた職場を逃亡するのは、ある意味必然だと思う。こうして不法滞在者が増えてしまう。この逃亡した外国人労働者は、足元をみられて安く過酷な労働に就くことが少なくない。

身も心もボロボロになった彼らが、心神に傷を負うケースは決して珍しいことではない。これが現代日本の現実である。はっきり言いますが、役所主導の外国人労働者導入は、必ず上手くいきません。現実をみずに、書類の上だけで問題を片付けようとする役人根性が、外国人労働力を歪めてしまっています。

これこそ、政治が主導するべき事案なのですが、現・安倍自公政権はこの点に関心が薄い。だからお役所任せの法案でお茶を濁しているのです。いずれ、手痛いしっぺ返しを喰らうことにならなければ良いのですがね。

コメント
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