税法とは行政手続き法である。
つまり、国家が国民から税を徴収する手続きを定めている。法の下での平等で公平な手続きであることが求められる。実はこれが案外と難しい。
何に対して、どのような基準で税金の算定をするのか。これは独裁国家であってもけっこう難しい。武力で制圧すれば良いとは言えない。ある程度、双方が納得したものであることが望ましい。
とりわけ民主主義国家では、その税の在り方で反乱が起きたり、独立戦争に至るケースもある。だから政府は慎重になる。前回に述べたサラリーマンの副業と節税は、けっこう古くて新しい問題である。
これは私の偏見かもしれないが、一般的にいってサラリーマン(OL含む)よりも事業者のほうが節税には熱心だ。これは給与から税金が天引きされるサラリーマンが税金に無関心なのに対し、事業者は確定申告後に一年分の税金を身銭を切って支払う痛税感を知るが故である。
その一方、サラリーマンは医療費控除くらいしか節税が出来ないため、どうしても節税には疎い。だが、平成になり消費税という大衆課税が行われたことで、少しずつ意識が変わってきた。自分もまた納税者であるとの意識をサラリーマンに強く印象づけたのが消費税だと思う。
ここ近年、実際に行われているサラリーマンの節税には、少額の事業収入と、多額の必要経費計上によって事業所得を赤字にする手法だ。この赤字と給与所得を通算して源泉所得税を還付させる。この手法を一部のコンサルと業者が推し進めていた。
私も数件、この手の申告依頼の相談を受けたが、詳しく知れば知るほど税務署に対して抗弁する材料に乏し過ぎるので断わったこともある。止む無く受けた依頼も、納税者には危うい申告であり、後で調査があることは覚悟して欲しいと伝えたほどだ。
問題点は大きく分けて二つある。一つは事業所得として妥当かどうかだ。日本の所得税は所得を10種類に分けて、それぞれ計算して合算する。事業所得とは、個人商店や作家、音楽教室経営など個人で運営する仕事からの稼ぎを指す。
白色申告と青色申告があるが、いずれにせよ生計を維持するに足り得る稼ぎ、生活の中心となる稼ぎをイメージしている。具体例をあげると、サラリーマンが仕事とは別に行う歩合制の仕事や、副業としての文筆業、あるいは翻訳業、ITインストラクターなど独自の暖簾を掲げての副業だ。
しかし本業との収入に差があり過ぎると、それは事業として妥当とは言えなくなる。この場合、雑所得とされてしまう。雑所得と認定されると、まず赤字が打ち切りになるため、損益通算が出来ず、節税にはならなくなる。
この事業所得か雑所得かの判定は、古くて新しい問題であり、グレーゾーンであるため問題が生じやすい。具体的に例をあげてみたい。
1 給与収入が年間500万あるが、休日に請負でインストラクターをやっていて年収30万。この場合の副業は雑所得だと思われる。
2 給与収入が年間500万あるが、休日に請負でインストラクターをやっていて年収300万。この場合の副業は事業所得で可能と思う。
実はどちらも同じ人であり、年によって副業の収入は大きく変わるとすると、この場合両方とも事業所得での申告が可能かと思われる。だが、異なる人の場合だと1は雑所得、2は事業所得となる。
ポイントは継続性にある。ある年に収入が少なくとも、営業努力の結果大幅増になることもある。その年に赤字が生じても、長い目で見れば黒字となっていることだってある。要はその副業に対する取り組みであり姿勢でもあり、そこを判断する必要がある。
私が受任した業務で、事業所得を雑に修正したことはない。税務署に対してしっかりと反証できるからだ。つまり、それが難しいと判断すると、私は初めっから雑所得で申告する。ここが難しいところである。
近年副業をする人が増えるにつれ、この副業を事業所得とするか雑所得とするかで悩ましい事例が増えてきている。最初っから赤字と通算による節税目的の申告もかなりあると聞く。これに税務署がキレた。(以下、次回)
つまり、国家が国民から税を徴収する手続きを定めている。法の下での平等で公平な手続きであることが求められる。実はこれが案外と難しい。
何に対して、どのような基準で税金の算定をするのか。これは独裁国家であってもけっこう難しい。武力で制圧すれば良いとは言えない。ある程度、双方が納得したものであることが望ましい。
とりわけ民主主義国家では、その税の在り方で反乱が起きたり、独立戦争に至るケースもある。だから政府は慎重になる。前回に述べたサラリーマンの副業と節税は、けっこう古くて新しい問題である。
これは私の偏見かもしれないが、一般的にいってサラリーマン(OL含む)よりも事業者のほうが節税には熱心だ。これは給与から税金が天引きされるサラリーマンが税金に無関心なのに対し、事業者は確定申告後に一年分の税金を身銭を切って支払う痛税感を知るが故である。
その一方、サラリーマンは医療費控除くらいしか節税が出来ないため、どうしても節税には疎い。だが、平成になり消費税という大衆課税が行われたことで、少しずつ意識が変わってきた。自分もまた納税者であるとの意識をサラリーマンに強く印象づけたのが消費税だと思う。
ここ近年、実際に行われているサラリーマンの節税には、少額の事業収入と、多額の必要経費計上によって事業所得を赤字にする手法だ。この赤字と給与所得を通算して源泉所得税を還付させる。この手法を一部のコンサルと業者が推し進めていた。
私も数件、この手の申告依頼の相談を受けたが、詳しく知れば知るほど税務署に対して抗弁する材料に乏し過ぎるので断わったこともある。止む無く受けた依頼も、納税者には危うい申告であり、後で調査があることは覚悟して欲しいと伝えたほどだ。
問題点は大きく分けて二つある。一つは事業所得として妥当かどうかだ。日本の所得税は所得を10種類に分けて、それぞれ計算して合算する。事業所得とは、個人商店や作家、音楽教室経営など個人で運営する仕事からの稼ぎを指す。
白色申告と青色申告があるが、いずれにせよ生計を維持するに足り得る稼ぎ、生活の中心となる稼ぎをイメージしている。具体例をあげると、サラリーマンが仕事とは別に行う歩合制の仕事や、副業としての文筆業、あるいは翻訳業、ITインストラクターなど独自の暖簾を掲げての副業だ。
しかし本業との収入に差があり過ぎると、それは事業として妥当とは言えなくなる。この場合、雑所得とされてしまう。雑所得と認定されると、まず赤字が打ち切りになるため、損益通算が出来ず、節税にはならなくなる。
この事業所得か雑所得かの判定は、古くて新しい問題であり、グレーゾーンであるため問題が生じやすい。具体的に例をあげてみたい。
1 給与収入が年間500万あるが、休日に請負でインストラクターをやっていて年収30万。この場合の副業は雑所得だと思われる。
2 給与収入が年間500万あるが、休日に請負でインストラクターをやっていて年収300万。この場合の副業は事業所得で可能と思う。
実はどちらも同じ人であり、年によって副業の収入は大きく変わるとすると、この場合両方とも事業所得での申告が可能かと思われる。だが、異なる人の場合だと1は雑所得、2は事業所得となる。
ポイントは継続性にある。ある年に収入が少なくとも、営業努力の結果大幅増になることもある。その年に赤字が生じても、長い目で見れば黒字となっていることだってある。要はその副業に対する取り組みであり姿勢でもあり、そこを判断する必要がある。
私が受任した業務で、事業所得を雑に修正したことはない。税務署に対してしっかりと反証できるからだ。つまり、それが難しいと判断すると、私は初めっから雑所得で申告する。ここが難しいところである。
近年副業をする人が増えるにつれ、この副業を事業所得とするか雑所得とするかで悩ましい事例が増えてきている。最初っから赤字と通算による節税目的の申告もかなりあると聞く。これに税務署がキレた。(以下、次回)