ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

戦争から学べること

2022-10-07 13:16:10 | 社会・政治・一般

戦争は始めるよりも終わらせる方が難しい。

今回のロシアによるウクライナ侵攻をみていると、つくづくそう思う。

当初、ロシアは短期で終結すると考えていたのだろう。実際、クリミヤ半島奪取の時は2カ月かからずに終結している。同じウクライナなのだから、同様に終結するはずだと楽観的に考えていたのだろう。

クリミヤ半島はソ連時代から共産党高級幹部の別荘地であり、住民もロシア系が多く、ウクライナの民も高級幹部らに仕えて、そのおこぼれで美味しい思いをしていたのだから、ロシア軍を歓迎した。だからこそ短期間で終結した。

しかし、ウクライナ本土は違う。パイプラインや電力送電網がらみで、ロシアと組んで美味しい思いをしていた住民は確かにいた。しかし、長年ロシアに食料を無理やり供給させられて、挙句に餓死したウクライナの民の悲憤を忘れていない住民も多数いた。

なんといっても、白ロシア(ベラルーシ)と並んでソ連の最前線を担ったウクライナは祖国を守ることに関しては断固たる意志を持っている。それはナチス・ドイツのソ連侵攻を撥ね付けた第二次世界大戦でも実証されている。

また長年ソ連邦時代に、ロシア軍とも一緒に訓練を重ねたが故に、ロシア軍の強み、弱みも熟知している。だからこそ、超大国ロシアの軍事侵攻を半年以上に渡り食い止めてきた。

ただロシア系住民が多く、ロシアと組むことで甘い汁を吸ってきた地域は奪われてしまった。

元々、軍事力は乏しく国家予算も少ないウクライナではあるが、欧米の経済的支援を受けての戦争継続である。クリミア半島も含めて、ロシアに奪われた国土を取り返すとゼレンスキー大統領は勇ましい。

既にロシアも緊急動員をかけねばならぬほどに余力はない。本来ならば、このあたりで欧米や中国、インドらの仲介を受けての停戦が望ましいはずだ。そのはずだった。

しかし、欧米からの金銭支援という甘い蜜の味を覚えたウクライナは、戦争を止められない。同様に大国の面子を守るためプーチンも引くに引けない状況となっている。

嫌な予測だが、両国とも政治指導者が替わらぬ限り、このままずるずると戦争は続くと思う。

戦争は勝つことよりも、如何に終わらせるかが難しい。どの国だって敗戦は認めたくないのが本音だ。特に独裁制を敷く国家にとって敗戦は、政治指導者の退陣を意味するから尚更だ。

ここで平和国家である日本を省みてみよう。

軍隊がなければ戦争は出来ないと考えた米国のGHQは、いわゆる平和憲法を押し付け凶暴な日本から武力を奪った。しかし朝鮮戦争を契機に米軍基地の守備を考えて再び日本に独自の軍隊を作らせた。しかし吉田茂はそれを防衛専門の組織だとして軍隊としては法規上認めなかった。平和憲法を逆手にとって、国家再建を経済に集中させた。

おかげで経済の高度成長を達成した。そこから得られる税収をもって、世界有数の巨額予算を誇る自衛隊なる軍隊を作れた。作ったは良いが、憲法は改正されず、憲法外の組織として運営されているが故に、日本国内では法治の枠外に存在する危うい軍隊となっている。

アメリカでもロシアでも共産シナでも、軍隊は厳密な法規制に縛られ、文民の厳しい統治下に置かれている。しかし、日本では憲法上ありえない組織となり、その規制法規は曖昧で、保護も監督もグレーゾーンに置かれている。

日本を可能な限り無力化させておきたいシナやコリアの意向を受けて、国内の一部の平和真理教徒が依怙地に憲法改正に反対し、それに事なかれ平和主義の日和見国民が付和雷同している惨状である。

おかげで日本は未だ、軍隊を法規制の下でコントロールすることが完全には出来ずにいる。有事法制が未だに不整備なままなのがその証左であろう。そんな日本が戦争の廃止を訴える滑稽さが分からないのが不思議で仕方ない。

人間と云う哺乳類は、集団戦闘に長けているがゆえに地上の覇権を握った生き物である。人が人である限り、決して戦争はなくならない。しかし平和は貴重なものだ。少しでも平和を守りたいからこそ戦争を抑制する仕組みが必要となる。

それが古来から推し進められた軍隊を法規制の下で管理することであり、国際条約であり、抑止的戦力の保持である。いい加減、脳内お花畑で平和の舞に酔い痴れる醜態から目を覚まして欲しいものである。

そして国連の指揮下であるならば、日本軍は海外への出兵もしている。脳内お花畑平和愛好市民がいくら護憲を叫ぼうが、日本は軍隊を擁する。その軍隊は既に政治目的(国際貢献と云う名の欧米の軍事戦略)を達成するための手段として活用されている。ただし違憲の組織である。

マキャベリは戦争を政治目的を達成するための手段の一つだと喝破した。なれば、その目的を達成したのならば戦争は終結だし、政治目的を達成できないと判断したのならば、戦争を中断するべきだ。

しかし、ウクライナとロシアをみれば分かるように、戦争を中断させるのは難しい。ウクライナに全土を奪還するだけの国力はない。同時にロシアにもウクライナを完全支配下に置くことは難しい。

日本は政治的手段としての軍隊を既に擁しているにも関わらず、有事法制は欠陥だらけ。国内の空気次第で暴走する可能性を秘めた軍隊であるのに、その手綱をしっかりと握ることが出来てない。いや、有効に使えていないと言うべきだろう。

はっきりと言います。日本は第二次世界大戦の敗北から十分に学んでいない。戦争に反対することは反省ではない。戦争から学び、それを活かす努力を怠っている実に不真面目な国、それが日本です。

コメント (6)
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