周囲を海に囲まれた日本にとって、国防は広大な海域と空域を守ることである。
なかでも防空は戦闘機が主役であることは太平洋戦争の頃から変りはない。しかし、その中身は劇的に変貌している。まず戦場においては陸地であろうと、空域であろうと情報が死線を制する。
かつてナポレオン戦争の頃、イギリスのウェリントン公は「あの丘の向こうの仏軍の布陣が分るのなら、全財産を差し出しても良い」と言ったとされる。戦場における情報の重要性は今も昔も変りはない。
今日では地上からのレーダーによる索敵のほか、空中警戒機と呼ばれる空飛ぶレーダー基地が重要な役割を果たしている。米国に次ぐ航空戦力を有するはずのロシア軍が、ウクライナの制空権を握れないのは、ポーランドの領空を飛ぶアメリカ軍の空中警戒機により情報が筒抜けだからだとされている。
もちろん日本の空軍もアメリカに次ぐ空中警戒機を保有して太平洋、日本海、東シナ海を網羅している。シナの空軍も空中警戒機を保有しているのだが、如何せんアメリカほど優れたレーダー探知機を持っていない。ちなみに日本空軍はアメリカ製の空中警戒機を保有しているから、シナはそれ警戒してうかつに戦闘機を出したりはしない。
制空権を勝ち取るには、優れた探知能力とそれに即応できる戦闘機が重要となる。そして現在の制空権を握る戦いは長距離戦である。ここが太平洋戦争時とは大きく異なる。
太平洋戦争前半において日本軍が制空権を有利にとれたのは、長大な航続距離を誇るゼロ戦という戦闘機をもっていたからだ。またこのゼロ戦は軽くて操縦性が良い点を活かした格闘戦に強かった。
第二次大戦中、最も優れた戦闘機であったアメリカのムスタングでさえゼロ戦との格闘戦は分が悪く、もっぱら上空からの高速急襲による一撃離脱戦法に終始している。
もっとも空中での格闘戦は、アメリカでもドイツでもパイロットの憧れであり、朝鮮戦争やヴェトナム戦争でも上空で東西陣営のパイロットたちが格闘戦を繰り広げた。
しかし現代の制空権を握る戦いは、もっぱらミサイル攻撃主体の長距離戦闘が主役である。このことをシナが痛感したのは、2015年に行われたシナ空軍とタイ空軍との合同演習であった。
シナ空軍は当時、空中格闘戦なら世界一ではと噂されたロシアのスホーイ27の無断ライセンス生産機であるJ11を自信満々で連れてきた。一方タイ空軍はスウェーデンの戦闘機グリペンを輸入して主力戦闘機としていた。
この両者による演習は10日近くに及んだが、その結果は驚くべきものであった。結論から言うと近距離での格闘技戦ならばJ11が優位であった。しかし、中距離から遠距離での戦いとなるとグリペンが圧勝となった。
その肝は電子戦能力の差であった。優れたレーダーを持つグリペンは、J11が気が付かぬ間に位置を捕捉してミサイル攻撃で圧勝してしまった。いうなれば狙撃用ライフルを持つ兵士と、接近戦用の重火器を持つ兵士の戦いであった。欧米も怖れるほど空中での格闘戦能力が高いとされたスホーイ27のコピー機であるJ11は、たしかに近距離戦ならば強かった。
しかし、高度なレーダーによる索敵能力と、それに見合ったミサイル攻撃の前には無力であることが分かってしまった。シナは率直にこの結果を認め、改めて電子走査能力の向上を課題とし、数兆ドルの予算を覚悟したとされている。
現在、日本空軍の主力戦闘機となる予定のライトニングⅡと称されるF35Aは、そのずんぐりとした格好からも分るように格闘戦は苦手である。しかし、優れた電子機器を搭載し、情報ネットワークを構築して戦闘を有利に進められる。
まだ実戦経験がないF35だが、アメリカは一旦引退を決めたはずのF15を改造してミサイル搭載数を大幅に増やしたF15EXと組んで制空権を制覇するつもりなのだろう。すなわちステルス機であり、飛行する情報統合機能を持つ司令機としてF35を中核に据えて、F15EXをミサイル発射機として運用するのだと思う。
日本にはF35はあれども、F15EXの導入予定はない。既存のF15を改良するのか?それとも国産予定のF3を転用するのか?
日本の平和を維持するためには、制空権の保持が絶対必要となる。莫大な維持経費がかかるF35がその中心戦力だが、補助戦力をどうするのか。防衛省が如何に考えているのか、そろそろ方向性を示して欲しいものですね。
追記 どうやらF15の日本版改良型を導入するようです。一度予算から消えていたのですが、復活するみたいです。
なかでも防空は戦闘機が主役であることは太平洋戦争の頃から変りはない。しかし、その中身は劇的に変貌している。まず戦場においては陸地であろうと、空域であろうと情報が死線を制する。
かつてナポレオン戦争の頃、イギリスのウェリントン公は「あの丘の向こうの仏軍の布陣が分るのなら、全財産を差し出しても良い」と言ったとされる。戦場における情報の重要性は今も昔も変りはない。
今日では地上からのレーダーによる索敵のほか、空中警戒機と呼ばれる空飛ぶレーダー基地が重要な役割を果たしている。米国に次ぐ航空戦力を有するはずのロシア軍が、ウクライナの制空権を握れないのは、ポーランドの領空を飛ぶアメリカ軍の空中警戒機により情報が筒抜けだからだとされている。
もちろん日本の空軍もアメリカに次ぐ空中警戒機を保有して太平洋、日本海、東シナ海を網羅している。シナの空軍も空中警戒機を保有しているのだが、如何せんアメリカほど優れたレーダー探知機を持っていない。ちなみに日本空軍はアメリカ製の空中警戒機を保有しているから、シナはそれ警戒してうかつに戦闘機を出したりはしない。
制空権を勝ち取るには、優れた探知能力とそれに即応できる戦闘機が重要となる。そして現在の制空権を握る戦いは長距離戦である。ここが太平洋戦争時とは大きく異なる。
太平洋戦争前半において日本軍が制空権を有利にとれたのは、長大な航続距離を誇るゼロ戦という戦闘機をもっていたからだ。またこのゼロ戦は軽くて操縦性が良い点を活かした格闘戦に強かった。
第二次大戦中、最も優れた戦闘機であったアメリカのムスタングでさえゼロ戦との格闘戦は分が悪く、もっぱら上空からの高速急襲による一撃離脱戦法に終始している。
もっとも空中での格闘戦は、アメリカでもドイツでもパイロットの憧れであり、朝鮮戦争やヴェトナム戦争でも上空で東西陣営のパイロットたちが格闘戦を繰り広げた。
しかし現代の制空権を握る戦いは、もっぱらミサイル攻撃主体の長距離戦闘が主役である。このことをシナが痛感したのは、2015年に行われたシナ空軍とタイ空軍との合同演習であった。
シナ空軍は当時、空中格闘戦なら世界一ではと噂されたロシアのスホーイ27の無断ライセンス生産機であるJ11を自信満々で連れてきた。一方タイ空軍はスウェーデンの戦闘機グリペンを輸入して主力戦闘機としていた。
この両者による演習は10日近くに及んだが、その結果は驚くべきものであった。結論から言うと近距離での格闘技戦ならばJ11が優位であった。しかし、中距離から遠距離での戦いとなるとグリペンが圧勝となった。
その肝は電子戦能力の差であった。優れたレーダーを持つグリペンは、J11が気が付かぬ間に位置を捕捉してミサイル攻撃で圧勝してしまった。いうなれば狙撃用ライフルを持つ兵士と、接近戦用の重火器を持つ兵士の戦いであった。欧米も怖れるほど空中での格闘戦能力が高いとされたスホーイ27のコピー機であるJ11は、たしかに近距離戦ならば強かった。
しかし、高度なレーダーによる索敵能力と、それに見合ったミサイル攻撃の前には無力であることが分かってしまった。シナは率直にこの結果を認め、改めて電子走査能力の向上を課題とし、数兆ドルの予算を覚悟したとされている。
現在、日本空軍の主力戦闘機となる予定のライトニングⅡと称されるF35Aは、そのずんぐりとした格好からも分るように格闘戦は苦手である。しかし、優れた電子機器を搭載し、情報ネットワークを構築して戦闘を有利に進められる。
まだ実戦経験がないF35だが、アメリカは一旦引退を決めたはずのF15を改造してミサイル搭載数を大幅に増やしたF15EXと組んで制空権を制覇するつもりなのだろう。すなわちステルス機であり、飛行する情報統合機能を持つ司令機としてF35を中核に据えて、F15EXをミサイル発射機として運用するのだと思う。
日本にはF35はあれども、F15EXの導入予定はない。既存のF15を改良するのか?それとも国産予定のF3を転用するのか?
日本の平和を維持するためには、制空権の保持が絶対必要となる。莫大な維持経費がかかるF35がその中心戦力だが、補助戦力をどうするのか。防衛省が如何に考えているのか、そろそろ方向性を示して欲しいものですね。
追記 どうやらF15の日本版改良型を導入するようです。一度予算から消えていたのですが、復活するみたいです。