安倍政権が新たに国会にだしてきた入管法改正は、事実上の移民政策ではないかと思う。
もちろん条件は厳しいが、世界的な基準から判じてみると、移民政策そのものだと云わざるを得ない。でも、これは現状に対する追認としての性格を有する。
そう、すでに移民は日本各地に定住している。
予め断わっておくと、私は安易な移民政策には反対である。実際にこの目で、外国人が多く住んでいる地域の現状をみているので、このままではマズイと危惧しているからである。
その一方で、労働力としての外国人の導入は避けられないとも思っている。大企業や公務員はいざ知らず、経済の末端における労働力不足は、深刻な問題であることを痛感しているからだ。
ロボットやAIの導入で解決できると主張する方もいる。実際、既に試験的に導入が始まっているが、そんな高額な投資が出来るのは大企業などに限られる。今、本当に人手不足に悩んでいる末端の零細事業者に、そんな余裕はない。
そして断言するが、既に日本社会は外国人労働力を抜きにしては機能しなくなっている。多くの人が、その現実に気が付かないのは、彼ら外国人労働者が働く現場が隠されているからだ。
著名なテーマパークのレストランから出る廃棄食料を処理している現場、大手コンビニ・チェーンに供給されるお弁当の製造工場、産業廃棄物の処分場など、日本人、特に若い日本人が働きたがらない職場では、外国人こそが主力である。政府の公表している外国人労働者は100万人だとのことだが、パートなどを含めれば、更に上積みされることは確実だ。
安倍政権が出してきた入管法の改正は、事実上この現実を追認した性格を有している。もう、とっくに移民は始まっているのだ。
だからこそ、私は心配でならない。
外国人労働者が多い群馬県の太田市は、私が仕事で毎月訪れている。自動車部品の製造工場や、レストランで外国人を見かけないことは稀だ。太田市役所に行けば、日本語の案内表示の他に、ポルトガル語、中国語、ハングル、英語などが併記されている。
外国人労働者が定住している地域に行って、そこの自治会で話しを聞けば、いくらでもトラブルの話があることが分る。生活習慣の違い、言葉の問題、子供の教育など、地域に密着した問題が山積みなのが現実だ。
以前にも書いたが、無免許で運転する外国人は少なくない。交通事故が起きて、無保険なうえに、故国へ逃げ戻った加害者の話が新聞沙汰になったのは、この地域である。
だが、その一方で外国人労働者が多数いるおかげで、この地域は中小企業が元気が良い。間違いなく企業を活性化している。もっとも、外国人労働者は解雇も容易なため、失業も多い。そして言葉の問題から再雇用で苦労する。
一時期、彼らは自主的に帰国していたこともある。しかし、再び戻ってきている。やはり日本の方が仕事はあるからだ。また以前よりも受け入れる側も慣れてきていることも大きい。
でも、これは群馬県や太田市、大泉町など地方自治体、各地の小学校、自治会などの無償の努力があってこその成果だ。子供を学校に受け入れるための制度外の努力は、ボランティアで賄われている。地元の消防団では、若い日系ブラジル人が活躍を始めている。最初から上手くいった訳ではない。
多くの人たちの努力と協力があってこその地域活性化である。それでも問題は山積している。特に言葉の問題は大きい。大泉あたりになると、日本語がつかえなくても生活が出来てしまう。だからこそ、イレギュラーな問題が生じた時に困ってしまう。
今も、役場の方、地域の住人たちが困惑しながらも、定住している外国人たちとのコミュニケーションに尽力している。だからこそ、この地域には、日本各地の役所からの視察が絶えない。
どうしたら良いのか、日本各地で人々が困っているのは確かなのだ。もう、移民反対などと悠長なことを言っている段階ではなくなっている。特に外国人に対する生活保護の増大は、小さな地方自治体を疲弊させる。今も問題は次々と生まれているのだ。
安倍政権が入管法の改正に取り組んだことは評価したい。でも、まだまだ足りない。定住している外国人たちに、日本がどう対応するべきなのか。これは、もう直近の課題であることを認識して欲しいと思います。
そして、彼らの労働力がないと、困る人たちがかなりいます。特に経済の末端を支えている事業者は、募集しても無駄な日本人よりも、外国人を頼りにしていますから。
だからこそ、現実的な対応が求められているんです。市役所や役場は、既にその最中に置かれているのですから。
私は移民反対派です。それは彼らも老いるし、日本人と同じ待遇をしないと、やがては暴力で対決せざる得なくなると思うからです。半端ならしない方が良い。しかし貴殿の記事を読み目を皿にしました。考えないで来たけれども、もう移民大国化してるんだ。弁当工場みたく見えないだけなんだ。そうなんだ……。考えたくない問題ゆえに思考停止していました。とても勉強しました。
目を背けてはいけませんね。その為に貴殿の記事を読ませて頂いてますから。ありがとうございます。