Photo by Ume氏
今日も素晴らしい秋日和だった。朝ここに来る途中眺めた北アルプスは、乗鞍まで冠雪していた。前衛となる常念岳には雪はなかったが、その背後の槍と穂高はこのところの好天にもかかわらず、白い峰を青い空に輝かせていた。
明日牛を集め、第2検査場に入れる。そして明後日、検査を済ませて里に下ろす。さっきも牛の様子を見にいったら、鈴の音に反応して森の中の水場からやってきたが、今日は塩を貰える日ではないと分かったのか、途中から付いてくるのを止め、後はいつものようにこちらが去る姿をじっと見送ってくれた。今日と違って給塩のときは、笛も鳴らすし、大きな声で呼ぶ。それでどこからともなく、呼びかけに答えて咆哮し、やってくる。そういうふうに放牧中に調教したわけだ。あの大きな図体をして、こちらの声に合わせて走ってくることもある。
気儘な暮らしが間もなく終わることも知らず、牛たちはずっとここにいると思っているのだろうか。No.222の種牛見習いマッキー以外は、遠からず出産が待っている。無事それが済めばホルスタインは搾乳が始まり、和牛は繁殖牛の役割を繰り返す。
上の写真のNo.12、通称「クロ」、もうこんなふうに主役を張ることもないだろう。天気の良い日も雨の日も、およそ動ずることなくその巨体で群れをリードした。放牧中の大概の牛は人に触れられるのを怖がるが、この和牛は平気だった。本来なら雄牛が圧倒的な力を持つが、まだ見習いの身、常にクロを立てて、従っていた。それもまた、見ていて微笑ましかったが、種牛を目指す立場としては如何なものか・・・。
牛のこと、のみならず農業のことについても、また書くことにして、とりあえずまた暗い夜道を里に帰ることに。昨夜の日没後の西の空に見えた夕焼けの残光は、圧巻、感動。
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